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イーグル・アイのhasseのネタバレレビュー・内容・結末

イーグル・アイ(2008年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

○「いったい誰が今回のサイバーテロの責任を取るのか?」(ニュースキャスター)

アメリカ合衆国のテロリスト抹殺作戦が失敗し、テロリストによる報復でアメリカ人が死亡したことにより、AIが政府は国家に反逆したと見なして大統領以下政府要人を抹殺しにかかるというAI暴走モノのストーリー。そのストーリーラインを飲み込めるまでに時間を要するが、飲み込んでからはかなり面白い。何より、2008年にこの設定やディテールを膨らませられた先見性には脱帽。

9.11以降、アメリカ国内で問題視されるようになった情報セキュリティ事情ーー本作の言葉を借りるならば、国民の自由を守ろうとしてかえって自由を侵害した安全保障のための方策ーーも色濃く反映されている。都会では街中至るところに設置された監視カメラで行動は監視され、携帯電話の通話は盗聴・記録され、PC等の使用履歴から個人データを吸い上げプロファイリングされる。個人情報は国家の管理下にあり、AIはそれを自在に操って人間を翻弄する。

本作の物語は、アメリカ合衆国がテロリズムから自国民を守るための安全保障政策が、かえって政府や国民の命を危険に陥れたことにより、政府の重鎮たちは行き過ぎた政策を反省するという帰結で幕を閉じる。AIをどこまで信じるか?どこまで活用するか?は2024年現在も明確な答えは出ていない。

AIアリアの声はなんとジュリアン・ムーア。贅沢な使い方!
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