○駐在さん「どこへ行くんだ?」 野原しんのすけ「ちょっと21世紀まで!」
クレしん映画の中でもトップクラスの評価を得ている本作を鑑賞。
大人が取り憑かれる、「懐かしさ」の根底に潜む少年/少女時代への退行願望を描き出す。(『ALWAYS三丁目の夕日』でも象徴される)古きよき昭和の町並みが放つ「懐かしい匂い」の正体が半分は「想像の共同体」によってつくられたまやかしであることにも言及しつつ、家族の存在がひろしの目線を、きたる21世紀、未来へとポジティブな形で向けさせる流れは鮮やか。
だが、そのきっかけが、ひろしの靴の悪臭をかいで現実を思い出すことというのがクレしんらしくて好き。
個人的に思っていたほど手放しで大絶賛、というわけではなかったが、子供向けアニメ映画の枠を越えた秀作。