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べイビーわるきゅーれのhasseのレビュー・感想・評価

べイビーわるきゅーれ(2021年製作の映画)
4.3
殺し屋の女子高生二人が、卒業とともに表向きは社会人として暮らすことを強いられ、初めての家事をしてみたり、バイトをしたり、本業の殺しをしたりと、ゆるめな生活の中に時折バイオレンスがカットインしてくる、特異な日常が描かれる。

今までみたことのあるシスターフッドものの中でトップクラスに好き。性格が正反対のちさととまひろの濃厚で甘ったるい共依存関係が、段々くせになってくる。

台詞回しも秀逸で、「こういうやつのこういう喋り方わかるわー、腹立つわー」というポイントを絶妙に突いてくる。ラバーガール大水さん演じるバイトの店長や、死体処理係の田坂さんとか。

固有名詞ネタのちりばめかた(ジョジョ、野原ひろし、DOLCE&GABBANAのせい、等々…)もくどすぎず、会話に小気味良いリズムを生んでいる。

キャラクターとか台詞とかをみるにつけ、てっきり良質な漫画原作なんだろうと思っていたが、まさかの阪本監督によるオリジナル脚本。製作当時25歳。才能すごい!

ちさととまひろの主演二人の演技が自然体でずっと観ていられる。お互いの欠点をずけずけ指摘して、喧嘩して、でも最後は認め合えるって最高の関係性だ。

本宮泰風演じる極道が、謎に女性の社会進出を標榜しながら、次のしのぎを探すべくメイドカフェを体験するくだりは面白すぎた。極道の逆鱗に触れ、コントが急転直下でバイオレンスに変わるシーンも上手い。

クライマックスのまひろ×ひまりの側近青年の容赦ない肉弾戦は激熱。『RRR』にも通じる漫画的な見せ方。まひろの、拳銃拾うと見せかけて頭突きフェイントはカッコいい。

あくまでゆるい日常系×バイオレンスアクションのテイストを崩すことなく、無駄なお色気描写やお涙頂戴の展開を拝した作劇は素晴らしかった。続編すぐ見たい。(二人の悲しき過去…とかに走らないでほしいところ。)
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