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ロードゲームのhasseのレビュー・感想・評価

ロードゲーム(1981年製作の映画)
4.1
リチャード・フランクリンというオーストラリアの監督の作品。wiki情報ではかなりのヒッチコック信奉者らしく、本作は『裏窓』のプロットをロードムービーにおとしこんだ作品を作ってみよう、という取っ掛かりからスタートしたらしい。言われてみれば確かにそんな感じの作品。

冒頭、車内にいる主人公の独り言とオペレーターとの小粋な会話や、女性の殺害シーン(ゴミ捨て場のシーンの繋げ方も含め)、明け方のゴミ捨て場を起点に繰り広げられる窃視のかち合い、アバンタイトルの出し方がキレッキレでゾクゾクした。知られざる名作を見つけてしまった瞬間特有のゾクゾク感だ。

その後の展開は「不審者を追っていた自分が不審者として追われる立場に」という一本線を突き進んでいき、特にひねりもなく結末を迎える。

後半は味気ないのだが、主人公が冷凍豚肉の数をかぞえて、予定より2つ増えていることに戦慄するシーンは傑出している。捌かれて上から吊るされている豚肉は、人間だと言われればそう見えてくる生々しさ。何より、薄暗く、仄かに緑がかった画面がいい。デヴィッド・フィンチャー監督等のサスペンスではよく見る色味だが、80年代の作品でなかなか見ない。

そして何よりオーストラリアの荒野をトラックが疾走する画が最高。変な生き物や太陽のギラつきは乏しかったが、土埃舞う荒野とか、断崖絶壁とかダイナミックな自然を堪能できたので◎。
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