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アンドレイ・ルブリョフ 動乱そして沈黙(第一部) 試練そして復活(第二部)のshabadabaのレビュー・感想・評価

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芸術vs権力、贖罪、水のモチーフといった主題が長編2作品目で既に確立されて、ここまでの大作として仕上がっているのは流石。初期の『惑星ソラリス』までの3作品の中では間違いなく1番の傑作と言っていいだろう。水と泥は黒澤明からの影響だろうけど、それがエピソードを繋ぐ役割として反復されて、時間の持続に対する独特な感性を形作っているのも素晴らしい。あまりにも芸術家としての自意識というかナルシズムが強すぎて、今観るとちょくちょく笑いそうになる部分はあるが、ラストの抱擁はやはり感動的。

もちろん『七人の侍』からの影響があるからとはいえ、この映画を観ると、タルコフスキーはやっぱり大作志向というかスペクタクルへの意識が強いんだろうなというのがよくわかる。ヴィルヌーヴ、ノーラン、イニャリトゥら、ハリウッドで大作映画を撮りながら芸術へと昇華しようとする監督たちがタルコフスキーみたいになるのはある種必然なのかもしれない。
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