Yumyum

ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還のYumyumのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

学生時代に金ローで観て以来の3部作再鑑賞。

面白かった。
しかし長い。
面白いのだが長い。

画面が白人オンリーなのにも改めてビックリする。
ファンタジーで異世界で色んな種族が出てくるのに白人の男しかいないという…ジェンダーの偏りも凄い。

名前のついた女キャラクターも3人くらいしか出ず、しかもありがちな誰かの「娘」誰かの「妻」誰かの「恋人」という「誰かの」女(又は聖女+聖母的扱い)でしかなく単純に「女」という「人間」の枠組だけで描かれないところも観ていて怖くなった。

この物語って
「THE男の!男のための!男による!男の維持とプライドと(男のために)命をかけた!男を守る旅!」なのだがそれってごりごりのマッチョイズムだよなーと…
世界のために、とはいうがその世界を牛耳ってるのは「男(王が男しかいない)」なので事実上やはり「男のため」なんだよな…と。

男は男に認められるのが好きだし、男は男の称賛が好きで男は男がすきなので(ホモソーシャルなマッチョイズム)それがごりごり反映された作品には人気が集まってしまうんだろうな、と。
(なので戦争もの軍隊ものの「男同士のバチバチバトル」って人気があるよね?トップガンにしかり…)

原作が古いものだし、時代もそうなのだろうが「めちゃめちゃ(人種といいジェンダーといい)偏ったファンタジー」だったんだなという感想。

昔は「色んな種族が出てくるな」と思ったが今は「"白人オンリーな"種族しかでないな」に視点が変わった。

今取り直すならホビット→アジア人みたいに色んな国の色んな俳優さんが演じてくれて、かつ名前のないモブキャラクターにも沢山、色んな国の俳優さんが起用されて、戦士やオークの中にも女性がいて「多様性のファンタジー」になるんだと思うが、その「多様性」こそ「色んな国の物語」感があって、それこそ「異世界のファンタジー」としてあってほしい姿だなと自分は思う。

フロドは指輪に精神支配をされながら旅をするので「フロド=いつもケガするし狙われるし精神不安で虚ろな目をした実質ピー◯姫」みたいな印象を受けてしまうが、その精神を侵してくる指輪をギリギリ自分本来の精神を維持させながら旅を続けたメンタリティーは相当凄いんだなと思った。

後半はほぼほぼサムのおかげで指輪を溶かすことに成功するし、むしろサムの功績なのだが、フロドの偉いところは「サムのおかげだ」ってことをわかっていること。認めて、サムに感謝を伝えられること。

サムは本当に素晴らしい人間(ホビット)だがフロドも別の意味で強く素晴らしい人間だと思った。
これがフロド(男)サム(女)に改編されてラブ要素が入ってたら(日本作品はやりがちだが{ガリレオシリーズといい})観れなかったなとは思う。
男と男の友情と「ケア」の関係性だから良かった。フロドとサムの関係性に恋愛はないが愛はちゃんとあるのが良い。

サムみたいな優しい人間になりたいし、フロドみたいな強い人間になりたいもんだ。

自分の好きなキャラクターはギムリなんですけどね…
(二つの塔でアラゴルンに「あっちまで飛べる(ジャンプできる)?」と聞かれて「…投げてくれ、でも投げられたことをエルフ(レゴラス)には言わないでくれ」「…言わないよ」という会話が凄く凄く好きで…)
レゴラスとギムリの忌み嫌っていた種族同士が友情を育んでいく過程もすきで、最後の戦いの前にレゴラスの口から「(ギムリが)友だち」という言葉が出たのも本当にグッときてしまった。

原作では後日(数年後?)ギムリもレゴラスも(サムも)フロドが乗った船にのり西へ旅立つらしく、そこでも友情を育んでほしいと思った。
Yumyum

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