やっぱりカルカン

ノートルダムの鐘のやっぱりカルカンのレビュー・感想・評価

ノートルダムの鐘(1996年製作の映画)
3.6
金曜ロードショー
2023.11.24 よる9時〜10時54分放送
ノートルダムの鐘
1996年制作 本編ノーカット
を視聴しました。

有名な作品でファンの評価も高いのですが、2002年に一度テレビ放送されただけでそれから21年間全く地上波放送されたことがない不遇の名作です。
15世紀のパリが舞台となっており今見ると時代錯誤に感じる部分はありますが、主人公の多様性という意味では今の時代に合っているのではないでしょうか。

今回初めて見ましたが、出だしから当時20代後半だった石丸幹二の美声に心を掴まれました。冒頭の曲はテレビのバラエティ番組などで最悪なことが起こる時や罰ゲームの時などによく使われている曲で「ノートルダムの鐘」の音楽だったとは知りませんでした。この時点でもうすでに名作の予感しかしません。

ヴィランのフロローは、今まで見た中でも屈指のムカつく・最低・気持ち悪いキャラでした。正直最後は生ぬるいなと思うぐらい、憎くてたまらなかったです。ネットで検索するとディズニーヴィランズの中でフロローが一番嫌いだ・最低だとする声もちょこちょこ見受けられました。

光と影の表現が効果的に用いられていて、画面がとても美しかったです。一部にはCGが用いられているようですが、基本的には手描きの作画がとても丁寧で、見ているうちにこれが27年も前のアニメだということを忘れてしまいます。お祭り、特にたくさんの紙吹雪が舞うシーンなどは圧巻でした。また、そこでのカジモドの心の底から嬉しそうな笑顔には胸が締め付けられました。

もし放送されたらまた見たいと思える作品でしたが、設定が難しいので小さい子供に見せたいとは思いませんでした。小学校高学年ぐらいからであれば理解できるかもしれません。少し点数は低めになりましたが何故21年間もテレビ放送が無かったのか不思議なくらい良作です。見たことない人は一度ぜひ。

ちなみに原題は「ノートルダムの背むし男」(The Hunchback of Notre Dame)で「背むし」が差別用語になるため、タイトルや冒頭のタイトルロゴが「ノートルダムの鐘」(THE BELLS OF NOTRE DAME)に変わっています。
せむしと呼ばれるカジモドの病気は「くる病」で、子どものときにカルシウム・リンが骨基質に十分に沈着せず、骨塩(セメント部分)が不十分な弱い骨ができてしまう病気。ビタミンDなどの栄養不足や日光に当たらない生活などに起因しており、赤子の時点で「醜い出来損ない」と言われていたことから、ジプシーである母親が相当虐げられて暮らしていたことが推測されます。