やっぱりカルカン

レオン 完全版のやっぱりカルカンのレビュー・感想・評価

レオン 完全版(1994年製作の映画)
3.7
BS-TBS レオン 完全版【吹替】
2023/11/11(土)よる9:00~11:24
の放送を視聴。

有名な映画なのに初めて見ました。いい映画でしたが、世間で持て囃されている割に自分には合いませんでした。最初は微笑ましいと思ったのですが、見ているうちにどうしても「12歳の女の子とおじさん」の共同生活は不適切なんじゃないか?という気持ちが、頭の中に3割ぐらいあって…

マチルダ役のナタリー・ポートマンご本人も近年似たようなことを思っているようです。

◆ナタリー・ポートマン、出世作『レオン』には「控えめに言っても不快な描写がある」
https://www.vogue.co.jp/article/natalie-portman-leon-complicated-feelings

◆ナタリー・ポートマン、映画『レオン』は「今見ると不適切」
https://www.elle.com/jp/culture/celebgossip/a27614640/natalie-portman-190529/

この映画を見て思い出したことがあります。
私はマチルダよりましですが、両親がおらず子供の頃祖母に虐待されていました。ある寒い日、外に締め出され5〜6時間が経ったころ「もう限界だ、この家を出て行こう」と思い、下着に半纏だけの姿で大通りに出ました。やがて親切なおじさんの車が止まり「どこに行きたいの?」と聞かれて目的地まで送ってもらいました。
おじさんは運転中何も聞かず、私が車から降りる時「これで洋服を買いなさい」と5000円をくれました。そんな格好ではお店にも行けないので、仕方なく大きなマンションの自転車置き場で人目につかないようしゃがんでいた所、親切なお姉さんが「こんな時間にどうしたの?うちに泊めてあげるからおいで」と言ってくれました。
これは30年ほど前の話で、その後私は警察のご厄介になって無事帰宅したのですが、そのおじさんもお姉さんも今だったら通報されて事情聴取を受けたり、何らかの罪に問われたりするかもしれません。

今になって、知らない子供に声をかけて保護することはものすごく勇気がいると分かりました。
ただ、そのおじさんやお姉さん、レオンみたいな優しい人がいてくれたから私やマチルダが誘拐されたり殺されたりすることなく無事に生きてるんだと思います。
もしあなたがマチルダみたいな子供と出会ったらどうしますか?
この映画は「しばらく2人で一緒に暮らす」のがポイントになっていると思います。命を助けられたのは良かったですが、こんな生活、はじめから長く続く訳がありませんよね。ホテルを転々とする様子などは見ていてハラハラしました。

個人的に少し複雑な気持ちになりますが、現実的にはありえないとしてもエンターテイメントとしては一級品だと思います。
私は悲しくて胸が痛むので繰り返し見たいとは思えず、一度見たらまあいいかな…という感じなので点数は低めに付けました。もっと若い時に見ていたらまた違った感想だったと思います。

切なくて、ちょっと考えさせられる作品です。あらすじにある「凶暴な純愛」とは言い得て妙ですね。別の意味でレオンにもマチルダにも当てはまるいい表現だと思います。