やっぱりカルカン

子猫物語のやっぱりカルカンのネタバレレビュー・内容・結末

子猫物語(1986年製作の映画)
3.1

このレビューはネタバレを含みます

2月22日(木) 20:00 - 21:50
BS松竹東急 よる8銀座シネマ
猫の日特別企画 1986年公開
子猫物語 ノーカット放送 を視聴(初見)

「ムツゴロウ」こと作家・畑正憲の初監督作品。谷川俊太郎の詩を小泉今日子が朗読、坂本龍一が音楽を手がける。ナレーションは元フジテレビアナウンサー露木茂。
協力監督・市川崑
製作総指揮・鹿内春雄
製作会社・フジテレビジョン

結論: 迷作。どうやって撮ったのかさえ深く考えなければ、可愛い猫に北海道の美しい自然風景が相まって悪くない映画だったと思うが、今はもう地上波では放送できないだろう。

感想:ネットでは以前から「虐待」「チャトラン 死亡」「チャトラン 犠牲」「やばい映画」などの噂がまことしやかに囁かれてきたが、嘘か本当か確かめようにも滅多にテレビ放送されないため今まで真偽を確かめられなかった。
猫好きとして一度は見たいと思っていたが、今日ついにその時がやってきた。他に見たい地上波の番組を録画して、気合のリアタイ視聴。

まず手始めに牛小屋の天井裏(多分?)から仔猫が1階の敷き藁に落下。いきなり驚いたが、全部見終わってから考えると何の変哲もないシーンである。
1番目の衝撃映像はパグ犬のプー助が小熊と戦うシーン。最初は熊がじゃれついているというか、犬の身体を狙っていて、最終的に犬の首や頭に噛みついているが、個人的には首と頭を狙う=殺しにいってるように思えた。血は出ていなかったがなんとなく途中で犬が別の犬と入れ替わってるような気がした。多分…

次にチャトランの足の裏にトゲが刺さったとされるシーン。猫が足を痛そうに庇って歩く「演技」など出来るわけがないので本当に怪我をさせて撮影したとの噂があった。実際の映像もまさにそうで、血やトゲは見えなかったものの、歩く姿がとても痛々しく、可哀想だった。

色々危ないシーンはあるが、やはり見ていて辛いのはチャトランが崖から落ちて海に落下するシーン。人間が突き落とした(放り投げた)との噂があったのだが、映像を見る限り話の流れそのまま崖から自然に落下すると崖ギリギリを落ちることになり地面と接触して命を落とす可能性が高まるためなるべく崖から離れた位置で確実に海に落ちるように飛び込まないといけない。猫にはそんな判断および芸当は出来ないので、つまり…

また、チャトランの替え玉は20匹ぐらい用意されていたと当時のスタッフが語ったとされる噂もあったが、映像を見る限りそれも事実である模様。ただし命を落としたからではなく、まず産まれたての仔猫時代、3ヶ月経った頃、半年経った頃と成長していくに伴って体格の違う猫が複数必要になってくる点と、海に落ちて近くの小屋に逃げ込んだ時、次のカットで毛が乾いてふわふわになっている(別の猫と入れ替わった)など、決まった期間の中で可能な限り時短をするためといった撮影上の都合があったのだろうと推測される。
恐らく、決してこの撮影で亡くなったチャトランのキャストはいない…と思いたい…

よく見ていると、チャトランが急に若返ったり老けたり、痩せたり、しっぽの先が白くなったり、ちょっとだけ毛が長く見えたり、短くなったり、顎の下が白くなったり茶色くなったりして、確実に複数の個体がいることがわかる。みなさんとても可愛らしい。

まだ3ヶ月の子猫だったのに、ひょんなことから大冒険することになってしまったチャトラン。やがて夏になり、秋になり、美女と恋仲になり、自分の女が「あたしこいつ気に入らないわ」と言ったので盟友であり命の恩人でもあるプー助と決別するチャトラン。そして、父になるチャトラン。
南極物語も辛いものがあったが、子猫物語は今地上波で放送したら色んな意味で苦情が殺到しそうだなと思った。

BS松竹東急さん、貴重な放送をありがとうございました!

余談
・公開当時は文部省推薦だった。
・アメリカ興行収入:約1329万ドル(2023年にゴジラ-1.0が更新するまで邦画実写歴代1位だった)
→文部省が推薦するほどの映画か?と思うかもしれないが、当時日本ではムツゴロウさんの動物王国と子猫のチャトランが大人気で、一種の社会現象になってた。視聴率も良かったしチャトランがジャポニカ学習帳の表紙になったりもしてた。
アメリカでそんなにヒットしてたとは知らなかったけど、そのあと似たような映画で豚が冒険する「ベイブ」とかもヒットしていたので昔は純粋に可愛い、面白いと思う人が多かったのかな…
まあ、映像がどうとかストーリーがどうとか言うよりとにかくかわいいんですけどね。猫がずっと。日本人は猫好きって言われてるらしいですけどアメリカ人も猫好きだったんですね。