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プライドと偏見のyokoのレビュー・感想・評価

プライドと偏見(2005年製作の映画)
4.1
高慢と偏見では少し言葉が強すぎるのでプライドと偏見で良いだろう。前々から思っていたがイギリス人にこの言葉はどれくらいのニュアンスがあるのかな。そもそもpr ideとpr ejudiceをかけた遊びごころだけのような気もする。

まず結構作品全体の何となくのイメージで勘違いしている人が多いなあと思ったところは、ベネット家とダーシーに階級差はない。同じアッパーミドルである。貴族と底辺の階級差を超えた大恋愛みたいに捉えている人が多い気がする。収入、教養などの違いはあるがダーシーやビングリーも上流階級、貴族ではない。一応調べたところダーシーの年収が1万ポンド、ビングリーは5000ポンド、ベネットは2000ポンド、当時の1ポンドは約一万円らしい。ベネット家もそこそこ金持ちなのだ、なんせ働き手のない女子五人を育ててるくらいでも生活はできる。まあだから結婚に出したい。土地の所有権が欲しいという話なのだが。

あと抑圧された女性たちが自由を求めて!とかそういう映画でもない。

同じ階級内の狭い話。少しチェーホフの桜の園や三姉妹も連想した。食うには困らない階級がもたらす呑気な空気。悲劇や大恋愛というより言葉のふんわりとした会話のやりとり。

あとヴァージンスーサイズ、作品は全然違うが五人姉妹の末っ子がやらかす感じ。マリーアントワネット風の自然主義的な白やクリーム色のシミューズやドレスを着ている感じ。今作のキーラでも誰でも良いがあのドレスは似合ってないというかもっとバッキバキなドレスも見たかった。まあダーシーたちのオサレに比べて田舎感、格下感を出したかっただけかもしれないが。あのゆるふわ感が苦手。

そんな中、一人気を吐いて高慢ちきなイギリス女を演じていたミスビングリー(ビングリーの妹)には拍手。セリフはあまりないのだが目線と姿勢、彼女は比較的濃いめのパキッたドレスを着ていた気がするがとても似合っていた。プラダを着た悪魔のエミリーブラントのような存在感とでもいうか、あそこまで騒がしくないが。まあもう少し五姉妹とすったもんだのバトルがあっても良さそうだが、表面上にこやかに軽く軽蔑してるくらいの距離感がいいのかもしれない。

不満点は2時間なのでしょうがないが、ダーシーが嫌な奴には最初から見えない。全てが唐突に起こっているように見える。友人シャルロット嬢とジェナマローンが同じ人に見える。5人は幾ら何でも現代的にハツラツしすぎでは?

好きな点
ジェーン、エリザベス、ーメアリー、キティ、リディア
この三女を境にした2:1:2の構図がとても面白い。その隔たりはびっくりするほど別な人種に見える。年齢分の経験だからというのはあまり関係ない感じ、キティやリディアは年を取ってもあの感じだろう。

本当に三女メアリは謎でしかめっ面で画面に佇んでいるのだが、優秀な姉、愚かな妹、どちらにも属せない。そして彼女の撒き散らす不穏さがストーリーに絡むかといえばそうではない。長女、次女はミスタベネットから、4、5はミセスベネットに愛情を受けてそうな雰囲気だが、3女メアリは本当に孤独だ、バカではないし、ピアノもできるようだが。上二人と比べると器量なしとのこと。原作でもベネット氏に「下の2人、いや3人は〜」とおまけ感覚でダメなこグループに入れられる始末。メアリの塒を巻く闇に悲劇性を感じる。オースティンはできる2人、ダメな2人ではリアリテイがないと感じたのかな。

彼女のスピンオフをいつか観たいw
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