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女のみづうみのshabadabaのレビュー・感想・評価

女のみづうみ(1966年製作の映画)
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川端康成の忘られがちな傑作『みづうみ』の映画化ではあるが、冒涜的といっても過言ではないほどに脚色されている。とは言っても、この時期の吉田作品のなかでは恐らく最高傑作。内容面でも撮影面でも、大島渚『白昼の通り魔』との同時代性が興味深い。

マクガフィンを巡るヒッチコック的なサスペンスが前半では展開されるが、岡田茉莉子演じる宮子が露口茂演じる桜井銀平と行動を共にし始めるあたりから、宮子の心情が把持不能になっていく。とりわけ、アントニオーニの『情事』からの影響が強いが、宮子がホースの水を潜り抜けるショットでの遠近感の喪失、桜井と情事に耽るシーンでの岡田の美しさ等々、吉田特有の目を見張るようなショットも多い。ただ圧倒的に素晴らしいのはラストの電車のシークエンス。逆光のなかで宮子の露口への問いかけを宙吊りにしたまま映画を閉じるセンスには脱帽。
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