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オールド・ジョイのyokoのレビュー・感想・評価

オールド・ジョイ(2006年製作の映画)
4.3
おっさん二人の絵面がまあ辛い!いちおう綺麗どころが出てる他作と違い、ハマるまでかなり時間を要した。

マークはまあかっこいい部類、外国では冴えない優男みたいな扱いかなあ。もう1人はカート、ハゲかけたヒッピーみたいなおじさん。2人は友達でひさびさにキャンプに行く。

優男の妻、妊娠中である。キャンプの許可を求める夫に「答えは決めてあるのに聞かないで」というが自分で決めたら決めたで、「勝手に決めた」と言われ無理解な男キリッ!のパターンである。

たぶん妻はそんないけてるタイプではない、ノーマンリーダスみたいな顔だし、振る舞いも洗練されてない。ようやく結婚出来そうな男を捕まえて、これから赤ちゃん気張るぞ!というときに旦那の旧友からの着信。反応を見ると、自分にかまって欲しい、旧友ウザい、というよりも、「友達と言い張って会おうとする女」、に対する疑いや嫉妬のスタンスに近いような気がする。

2人は待ち合わせして、相手の車で行くのかと思いきや主人公の車でいく。この狙いが良くわからないが、カートはそっちの車の方が向いているからという。面白いのはカートの車は濃い緑で、主人公の車は淡い緑だ。

今回のテーマは緑である。自然ということではない。優しさ的な意味で使われてると思う。同じ緑グループではあるが本気度の違い。

キャンプした朝、草原で片付けを始める主人公、散らかったゴミ、うろつく犬、後ろで放尿するハゲ、この一枚のショットが素晴らしい。タルコフスキーである。

むふふシーンだが。指輪を隠すようにしたのはハゲに気を使ってか?それとも自分も結婚を忘れたいのか?どちらでもありそうだ。

あとルッキズム批判にも見えるな、ホモは美形じゃないとダメなの?ギレンホールとヒースレジャーじゃないとダメなの?実は異性愛以上にルッキズム、それか記号的なオカマやコメディリリーフどちらかしかない。ただただ不細工な同性愛者役はまだまだ少ない。

車が着いて、カートは微妙にゆっくり降りる、なんだかんだ時間をかけようとする時間のタメはキス待ちのタメにしか見えなくなってくる。

街を彷徨うカート、もっとうまくいくと思ったがアテが外れたのだろう。カートお前は禁止!と存在を否定せんばかりのクローズドの店々。ここはハネケ並に不安を感じるのショットである。しかし唐突に安堵を迎える。ホームレスが施しを要求する。カート断る。カートまた店に入れない。思い直し、ホームレスにお金を与える。そして不安な画角から抜け出し歩きだす。階層の違う人間への優しさが、彼自身を救ったのである。

ラストショットはカートのアップで後ろに緑の信号が点灯している。
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