不思議な映画。そして何もない映画。でもなぜか好き。
昔なぜか観て、現物は廃盤(あのcdケースに入れられてる時代のdvd)になってて、またいつか観ようと気になってはいたのだが、急にアマプラに復活。
ストーリーはドーベルマンと呼ばれる男が仲間たちと強盗をする話で特に深い映画ではない。がエンタメに振り切ってるかといえばそうでもないし、クライムアクションや銃撃戦が面白いかといえばそうではない。
まあちょっとタランティーノ風味でもあるがもう少し会話のセンスが欲しい。いろんなキャラはいるのだが意外とボキャブラリーが少なく直線的だ。
殺伐としてるならそれでもいいがそうでもない。絵はサイバーチックで若干ポップ。でもグロい。ただそれが斬新でスタイリッシュかといえばそうではない。
じつは作中でトレインスポッティングとユージュアルサスペクツのポスターが映る。人物の軽はずみなノリ、寄せ集め感は確かにそんな感じもするし、中田とローマにいたモンテッラ風の良くキレるやつはロバートカーライルにやらせても良さそう。
なんか結局はあの時代のオサレ!中2をぶち込みました。みたいな感じがなあ。プロディジーのvoodoo peapleもかかるし。
耳の聞こえない女、オカマ、神父、偏執狂な刑事など背景の説明なくでてくるが、説明しないオサレなのか、その説明する能力がないのかも中途半端に見える。
銃が売りのようでもそうではない。銃撃戦は何が起こってるかわからないし、緊張感もない。何より主人公に至ってラスボスとの対決で銃は使わない。
安っぽいエンタメを装ってアレックス級のキモみもたまに見せてくる謎映画。アッパーかといえばそうではないし、バッドエンドが強いかといえばそうでもない。スカッともしないし、オサレな殺伐さもない。何もなさが、哲学的な無として、享楽的な生き方にマッチしてるかと言えばそうでもない。そもそも、主人公はめちゃくちゃイカれてるかといえばそうではない(よくよく考えるとこれが1番笑える)
ヴァンサンカッセル、モニカベルッチ二人とも出ているのでまあファンならみても良い。