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ローズ島共和国 ~小さな島の大波乱~のbirichinaのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

2021年ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞
最優秀助演男優賞&女優賞!!
主演ジュリオ・エルマンノは他作品で最優秀主演男優賞!

ジュリオ・エルマンノがまたしても名演技!誇り高き型破りのエンジニアを演じている。お手製の自動車(全面ガラス張りみたいでオシャレ)を運転中にナンバープレートがないため警察に捕まり、「僕が作った車だから、なくて当然だろ」と自慢気に言ったり、無垢というか常識欠如。警察に迎えに来た父親の「おまえはなんで普通になれないんだ」という愚痴が、主人公の人間性を言い当てている。
ベースとなっている実話ではどうか知らないが、映画では、常識外れの主人公に愛想をつかした元恋人に言われた「あんたは自分の世界に生きてるけど、世界はあんたのものじゃないの!」に触発されて、彼女とよりを戻したくて自分の島(国)を作ることを思い付く。ローズ島共和国と名付けた島は若者のリゾート地として人気を博すが、国から危険視されてお取りつぶしに。でも、おかげで主人公は元彼女と結婚できたし、歴史に名前を刻めた(国連は公海の基準を陸地から6海里から12海里へ変更)からよかったのでは?

様々な要素が対置されていて考えさせられる作品だった。①主人公(エンジニア、夢追うロマンチスト)と元彼女(国際法専門の弁護士、リアリスト)、②社会に対する抵抗活動が中心の学生運動と自分の島(国)を作って社会に認めさせようとするという主人公の、自由と独立を求める方法の違い、②自分や仲間の夢や願いの実現を優先させる主人公たちのミニ政府と国民やバチカン、諸外国との緊張関係も視野に入れなきゃならないイタリア政治家たちの苦悩、など。

<その他の感想>
・1960年代に流行した曲がふんだんに盛り込まれたBGMがよかった。
・内務大臣を演じたF・ベンティヴォッリョは本物そっくりに演じて国内の助演男優賞を受賞した。本物を知らないのでどれだけそっくりか分からないのが残念!(写真は似ていた)
・海中で石油プラントの建設方法をスパイするシーン、ゼスチャーが超イタリア的で笑えた。
・妊娠中の未成年バーテンダーのフランカの発言がいちいち面白い。「財務大臣⁉あたしにピッタリじゃん、やるやる。で、どうやればいいの?」「あいつら脅してるだけ!あたしは騙されない!」などなど威勢が良くて笑えた。
・政治家はいいとして、バチカンの責任者まで放送禁止用語を連発しているのには笑えたけど少し驚いた。
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