なーちゃま

ハッピーシュガーライフのなーちゃまのレビュー・感想・評価

ハッピーシュガーライフ(2018年製作のアニメ)
4.4
アニメの感想はこちらに。→https://adiantum-estudio.com/how-i-felt-after-watching-happy-sugar-life/

久々に感じ入るものを見てしまった。キービジュアルやOPからは想像もつかないような狂愛ホラーアニメ。虐待シーンや殺人シーンは胸糞悪くなる人が大半だと思うし、『SchoolDays』みを感じてしまう人もいるかもしれないが、そういったシーンは置いといて、「さとうとしおの社会的に許されない信頼関係」というテーマは個人的にすごい好みだった。
ネット上ではさとうが嫌いという人が多い印象だが、私はさとうに痛いほどに感情移入してしまった。歪んだ叔母に育てられ、見目麗しく生まれてしまったがために汚い感情を向けられ続けたさとうが、純粋無垢なものに惹かれて、虫が光に眩惑されるように執着してしまう気持ちは非常によく描かれていた。愛が高じてそれを邪魔するものを殺し脅すことには共感できないが、そうしたくなるほどの執着は、ひとえに彼女の育った環境が生んだものと言える。さとうは犠牲者。
だがほんとにほんとに太陽はただの犠牲者だった……。大人の性の玩具にされた子供にとって、性被害の経験は凄まじいスティグマになる。太陽のしおへの偏愛はもう店長が悪いとしか言いようがない……。
社会的に許されない愛は、愛という原初的な感情は否定できないものだからこそ、それを一方的に笑って押さえつけることが正しいことだととても思えない。勿論社会的に許されないものの中には、本当に許されてはいけないものがある。でもそれを好きだと思う気持ちを、それを好きだとは思わない人間が一方的に踏みにじる権利はあるのだろうか。……とここまで考えてしまった。
『流浪の月』読了後の気持ちに若干似ている。
なーちゃま

なーちゃま