ぴっつぁ

灰と幻想のグリムガルのぴっつぁのレビュー・感想・評価

灰と幻想のグリムガル(2016年製作のアニメ)
4.2
異世界転生モノは数あれど、本作ほどリアリティを追求した作品はそうそうないのではなかろうか。
特別な力は何もなく、替えのパンツすら買えない貧乏生活。そんなゼロの状態から一歩一歩パーティのみんなと力を合わせて成長していく、ただのバトルアニメではない、言うなれば異世界転生ヒューマンバトルアニメである。

本作はこれまで他の作品がご都合主義で無視してきた異世界の過酷さや苦難を細かく描いている。
人間はもちろん、敵のゴブリンも死にたくない。だから必死に立ち向かってくる。その気迫に怯んでしまうこともある。
個性豊かなパーティのメンバーとは、意見のぶつかり合いで喧嘩をすることもある。
そして時には、受け入れ難い現実に直面することもあるだろう。
異世界での生活はきっとこうなんだろうなと思わせてくれるからこそ、彼らの行動や感情にも共感しやすくなるというものだ。

それと本作をレビューする上で外せないのが、水彩画のような色使いの背景美術だろう。
淡い雰囲気の作画が異世界の空気感に非常にマッチしており、自然そのものの美しさが伝わってくる。

いずれの要素も高い水準でまとまっている本作は、間違いなく異世界転生モノの傑作だ。
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