Matsuhero

リコリス・リコイルのMatsuheroのネタバレレビュー・内容・結末

リコリス・リコイル(2022年製作のアニメ)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

犯罪率が極端に低い平和の国日本。

秩序を重んじ、尊重して生きている日本人の高い倫理観によって達成される、、のではなく、重大犯罪は全て「DA」と呼ばれる秘密組織によって秘密裏に処理され、犯人は処分され、事件をあたかも最初からなかったかのように掃除していることで成立しているものだった。

そんな「DA」の中でも抜群の成績を収めるも、暗殺必須のDAの中で「いのち大事」と一切殺傷せず、普段は喫茶店で働いて街のトラブルを解決しているはみ出し者の千束と、命令最優先にもかかわらず仲間を規律違反を犯してまでも救ったためにその喫茶店に左遷されてしまった、任務遂行マシーンのたきなのコンビが織りなすアクションコメディ。

とにかく放送開始前は、オリジナル作品ということもあり、全くノーマークだったわけですが、緻密に練り込まれたストーリー、可愛い女子がわちゃわちゃするライトな百合感、エッジが効き過ぎてるギャグパートと、全てがしっかり噛み合わさって、様々なところから大きな反響が上がった作品となりました。

特に音響監督がこだわりにこだわった効果音とキャストのアドリブを全部取り入れちゃうアフレコの柔軟性で、(小清水亜美いわくそんな現場そうそうないとのこと)
テレビで見てると聞こえてこないようなどうでもいい会話まで爆笑必須です。
どんなにシリアスな回でも必ず一度は笑わせてくれます。

特に7話蒲焼さん太郎と8話のたきなの特製パフェのくだりは窒息するくらい笑いました。
そもそも小清水さんがあまりにフリーダムすぎて、小清水さん演じるミズキが喋るととにかく無茶苦茶面白いし、そこにクルミ役の久野美咲さんが絡むともう無法地帯となります。

当然、主役である千束の安済知佳さんの溌剌とした演技は本当にお見事としか言いようがなく、大当たり役として今後もずっと名前が上がるキャラクターになるのではと思います。
しおんぬーこと若山詩音さん演じるたきなのサイボーグのような無感情な演技から、回を重ねるごとに徐々に女子らしく変化していく感じがすごく素敵でした。

何より真島役の禎丞くんが、近年の代表作になるんじゃないかというぐらいの出来。リバーフェニックス、あるいはホアキンフェニックスのジョーカーよろしく本当に凄まじかったです。近年のアニメ作品の中でも屈指のダークヒーロー、アンチヒーローだったのではないでしょうか。悪役の癖に映画が好きとかコーヒーが飲めないとか妙に人間臭いのがいいですよね。

キャラクターが全員立っているのは魅力として、アクションとしての要素や伏線もきっちり回収してくれる脚本も大変素晴らしかったです。
基本的には現代日本が舞台だけど、そこに少しファンタジーというかサイバーパンクというか。
例えばDA、アラン機関、電波塔事件などちゃんとそういう要素を塗してるのは、塗せるのはオリジナルアニメーションならではの醍醐味ですよね。
もっというとミカとよしさんのBL!?展開も新しいですし、ドローンとかテクノロジーも非現実とまでは言わないけど最新鋭をちょっと超えるみたいなものも登場し、リアルとアンリアルの絶妙な境を突いていくような感じです。

ちょっとこのクオリティでやられてしまうと2期あるのか?って思いますが、ぼっちざろっくと並び、しばらくアニメーション業界をざわつかせ続けそうな傑作の誕生を目撃できて幸せでした。
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