いきる

ベルセルク 黄金時代篇 MEMORIAL EDITIONのいきるのレビュー・感想・評価

5.0
原作未読で視聴。すごいもんを見たな。というのがまず一言目に出てくる感想。こんなに傷つけられるアニメだとは知らなかった。昨今流行っている読む地獄と呼ばれる漫画やアニメをある程度嗜んでいるが一番傷つけられたかもしれない。視聴層に一切気を使わない血肉や性の生々しい描写はもちろんのこと、それ以上にこの作品には心を抉ってくる何かがある。

平沢進、鷺巣詩郎、大河内一楼というビッグネームはやはり期待を裏切らなかった。音楽よしストーリーよし映像よしの切れ味抜群の作品。

第1話からグリフィスというこの美しい男を何としても奇麗に描いてやるという制作陣の執念をひしひしと感じた。血生臭い曇った世界観の中に一際目を引く白い光みたいな男。もはや嫌味なくらいの純潔さと少年性を持ちながらも野心を湛えた碧眼が見え隠れするアンバランスな姿。まさか全ては観る人の心をズタズタに引き裂くためだったなんて…深い傷が残りました。

ネタバレを避けるため前知識なしに見たが、13話のラストシーンのAriaは鳥肌モノだった。この長い物語はガッツの本当の冒険の始まりに過ぎないのだとそう感じた。
第1話で描かれた青い空に緑が茂る丘での壮大で美しいふたりの出会いを見て、まるでドラ●ンクエストのようだと感じた胸の高鳴りを返して欲しい。これもグリフィスの美しさ同様ブラフだったのである。本当の始まりはここから。ガッツがこれから歩む道は修羅の道だと傷跡よろしく深く刻みつけられるそんなラストであった。いつも始まりは終わりの始まりなのだ。

普段アニメにハマるとワンクール一気見してしまいがちな私も今作は数話見続けるにはあまりにカロリーが重く、(映画で浴びたらどうなっていたのか)そして終わってほしくないと思うほどにクオリティの高い世界を見せてくれた。この続きはぜひ漫画を読もうと思う。
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