針鼠

アルスラーン戦記の針鼠のネタバレレビュー・内容・結末

アルスラーン戦記(2015年製作のアニメ)
-

このレビューはネタバレを含みます

2020/08/06 netflix  全25話 再鑑賞。

2021/12/ netflix 20話目まで再々鑑賞して中止。

再鑑賞まではそれでも我慢できないわけじゃなかったが、このアニメ版は田中芳樹の原作小説とも荒川弘のコミック版とも、省略したり付け加えたりアレンジしたりして変えているところが多いのだけれど、その省略も追加も改変も、アニメ化に際し変えてるところ全てが、ことことくこんな変え方したら台無し的に間違っているので、見るに耐えられず、20話目で投げ出してしまった。

まず一番目に1952年生まれの田中芳樹は生まれは戦後だけど、親世代は戦争を実体験しているわけで、親世代の実体験から戦争というものをきちっと学んでいるし、それが小説にしっかり生かされている。ダリューンの超人性などは確かにファンタジーならではのものだけれど、それとは別のところで田中芳樹の描く戦争はその本質を見失ってはいない。でもアニメの制作スタッフは監督も脚本家も戦争をアニメやライトノベルを通じて知っているつもりになっているだけだ。本人たちはよりリアルに描いているつもりなんだろうけれど、そのリアルさ自体が実は作り物でしかないことを気が付いていない。

二番目はキャラ造形。男性キャラはまだいいのだけれど、女性キャラ。エトワールもアルフリードも、役どころを交換してもわからないくらいの、アニメやライトノベルあるあるの「明るくて気が強くて視野が狭くて、でも実は一途で健気な女の子」という凡庸なキャラにおとしこめられてしまって、無残としかいいようがない。

何よりもアニメ制作スタッフ、そもそもちゃんと原作小説読んでいるんですかあ?アニメ制作時点ではまだ原作完結していないとはいえ、あのエピソード省略しちゃったら今後の展開、どうするんですかあ? 既刊分だけでも、原作しっかり押さえていたら、あのエピソードやこのエピソードの省略はしなかったと思うんですけどねえ。話の流れの最重要部分の骨を抜いちゃってさあ。田中芳樹はあんたたちより遥かに上を行くストーリーテラーだってこと知らなかったんだよねえ。だからわかったつもりで何も考えずに省略しちゃった。腹水盆に返らず。後悔先に立たず。シーズン3はどうなさるおつもりですかあ?
針鼠

針鼠