サカイピロシネツキ

THIS IS US/ディス・イズ・アス シーズン6のサカイピロシネツキのレビュー・感想・評価

5.0
このドラマを作ったのって神なんじゃないかとすら思える。

さすがに都合良過ぎな出来過ぎたことばかりが起こるけれど
それすらも奇跡的な必然と思わせる圧倒的な脚本の力。


これまで“This is U.S.A.”なアメリカの父親像が描かれてきたシリーズだけれど、
ファイナルとなるシーズン6では様々な関係性の中の母と息子、母と娘、妻と夫というように
大きな大きな母親像が中心に描かれるし、
壮大な女性讃歌になっている。


シリーズを通して描かれてきた
ジャックとレベッカが築く理想の家族像/夫婦像の素晴らしさと同時に
親子間、パートナー間での多様なバージョンの幸せの在り方が描かれるのも
これだけ登場人物が増え、大所帯化した群像劇の良さだと思う。

そして、ケヴィン、ケイト、ランダルの三兄弟が中心の現代パートにおいて
見返りを求めずパートナーを支えることを選んだ“愛”の体現者たち…ベス、ミゲル(そしてトビーもここに敢えて加えたい)
から学べることはとても多い。


ある意味呪いとすら言える偉大なるジャックの亡霊からなかなか逃れることができなかった三兄弟が
その大いなる遺産…彼とレベッカの精神を本当の意味で受け継いで周囲の大切な人たちと分かち合いながら、前へ進み成長していく…

兎にも角にも、毎回新しい登場人物を加えながら、何世代をも行き来しての大風呂敷を畳んで、シーズン通しての伏線回収すらしての完結。

シーズン1とシーズン6がスフィアン・スティーブンスの同じ曲で始まるように
世代を跨いだ新旧のサントラも最高なんだけど、それよりオリジナルのエンディングテーマが頭の中で鳴りやまない。
The Forever Now.
時は過ぎ去る、だからこそこの何でもない瞬間を楽しむんだよ、と。