utako

ボードウォーク・エンパイア 欲望の街 シーズン3のutakoのネタバレレビュー・内容・結末

5.0

このレビューはネタバレを含みます

マーガレットの連子の難病発症や、ナッキーの裁判などなど様々危機を乗り越え、S2ラスト晴れて結婚した2人。

政治の表舞台から退き闇ビジネスを定着させるナッキーと、資金援助先の病院経営に介入するマーガレット。ビジネスに口を挟む妻と当たる事が多くなり、愛人に溺れるナッキー。金と権力ある男はモテまくり。笑 
しかし、配偶者になった途端トキメキなくなっちゃうとか大変生々しい展開。女は股を開いてればいいと不満気なナッキー。女性の社会進出が進む時代において、今後の伏線になる概念かもな。
NYの若手女優との浮気現場を見られ冷戦状態続く中、とうとうマーガレットもナッキーの側近と駆落計画立てたり絶賛家庭半壊中。

ビジネスも拡大より安定優先。ナッキーの勢い失速の描写は何を意味するのか…なんて観てたら予感的中。NYのギャングに出し抜かれ上手くいってたビジネスパートナーのロススタインとの関係にも暗雲立ち込め。完全にナッキーの非でありながら微塵も引くことなく、強引に納得させ話しを纏め上げる頭の回転の良さは観てて爽快感あるんですが、こりゃ敵も増えるわけだ。

後半、そんな勝ち気が裏目に出て、命を狙われ爆破事件に巻き込まれる。首謀者のNYのギャング・ロゼッティが、ドM性癖の変態ヤバイ奴で恐ろしすぎる…。ボスの圧力に切羽詰り、教会で神をコキ下ろす姿なんか完全にぶっ壊れてるけど、各キャラ背景も描き個性に説得力を与えてくるあたり流石スコセッシ作品。

怒り心頭のナッキーは復讐計画に燃え、ビジネスパートナーたちに協力を仰ぐが、身から出た錆だと孤立する結果に。弟と腐れ縁の黒人仲間のみを頼りに、闇家業から退く覚悟の絶対絶命の時、会合にも現れなかった実在のあの人が、シカゴよりまさかの援軍に。これはココいちカッコ良すぎて大興奮。

アトランティックシティ乗っ取り戦争は、最終的に中立の立場を貫いたロススタインの一方的な取引提案を飲むカタチで終焉。しかし、それをまた逆手に取るナッキーの執念たるや…タダでは転ばない男です。
これも生まれ育ったアトランティックシティに寄せる強い想い…幼少期の貧しい経験からくるもので。常にボス視点で他人の意見なんか聞き入れないナッキーが、今回の件で弟や地元の仲間と腹を割り絆を深めたのは感動的だった。反面、寝首をかかれまいと孤独を抱える姿には哀愁も。駆落計画が夢と散ったマーガレットの夫への愛は完全に凍りついたし、イーノック家はこのまま終わりなのか。愛人にしろ嫁にしろ、金で支配できると思ってる局面が何度かあって、どっか不器用なのも気がかり。

政治家と闇の繋がりに本格的にメスが入りそうだし、ヘロイン漬けになったジリアン周辺問題、黒人、イタリア、ユダヤ、アイリッシュ人種間のマウントも危うさがあって、まだまだ全然ダレず面白い。
それにしても、S1で取締官だった彼が部下殺しや離婚など紆余曲折の果ての果てに、今じゃ酒の密造販売に関わるって地味に一番波乱万丈の人生じゃないか。笑
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