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おかえりモネのkurikintonのレビュー・感想・評価

おかえりモネ(2021年製作のドラマ)
4.6
こんな朝ドラ今まであったのだろうか。

津波の被災者を、感情を、ここまで丁寧に描いている作品も初めてではないだろうか。10年経ってようやく描けるようになったのかな。

そして言葉で説明しすぎない脚本に演出は、逆に視聴者に対して真摯だと思う。
どうしてそういう発言をしたのか、行動をしたのか。何の説明もないけど表情や演出で染み込んでくる。

透明なゆりかごもほんとに素晴らしかったけど、安達奈緒子×清原伽耶ほんとに美しいな。クスッと笑いつつ、キューっと胸を掴まれるようなエピソードがたくさんあった。

朝ドラのヒロインは子供の頃からおてんばで明るくて、挫けず周りを明るくするような女性が多かったけど、モネは口数少ないしグズグズ悩むし挫折から始まるし、恋をしてもなかなか進展しない。でもこれが令和の女の子なのかなーと。

菅波先生も、俺について来い!じゃなく、あなたの苦しみを理解したい、というところが素敵じゃないですか。いつも厳しい言葉含めて的確なアドバイスくれるし、こんな彼氏理想だなー。

内野さんと鈴木京香夫婦も、お爺ちゃんも、気ままな上司西島さんも、夏木マリも、マイコも、みんな悩みながらも暖かくて、素敵でした。みーちゃんはずっと暗い顔をしてたけど最後は一つ踏み出せて良かった。

りょーちんのエピソードと、姉妹のケンカのあたりは、心がギュッとされた。急に津波で大切な人を失った悲しみ、苦しみは想像できないほど。でも毎日を進んでいくしかない。最後にはりょーちん家族にも少し光が差し込み始めてよかった。

静かで、重くて、この朝ドラを好まなかった人はたくさんいるだろうけど、美しい映像と、静けさと、天から聞こえてくるような美しい音楽と、モネの透明感と、私にとってはいろんなものが浄化されるような半年だった。
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