パワードケムラー

バイオハザードのパワードケムラーのレビュー・感想・評価

バイオハザード(2022年製作のドラマ)
1.0
 ファンはクリスやレオン、ジル達が戦った最強の敵であるウェスカーを求め続けていた。2002年の実写映画からずっと。その間、ゲームではウェスカーをはじめとするアンブレラの掘り下げが進められており、ワクチン接種という名目でアフリカ西部の貧困地域にプラーガを蔓延させるという生々しい人種間問題を描き、イブリンによるルイジアナ州のベイカー邸での悪夢によるクローズドサークルによるホラーという新境地、そして名作と名高い東欧の辺境の村を舞台にした民俗的ホラーと全ての始まりであるミランダとの決着......様々な視点からアルバート・ウェスカーという宿敵とバイオハザードの世界観を描いてきた。

 なら、実写シリーズはどうだろうか。とってつけたような展開ばかりのポール・アンダーソンによる嫁PVに、再現を試みているもののグズグズだった『ウェルカム・トゥ・ラクーンシティ』、そして今回の中間管理職のウェスカー......実写版モンスターハンターをポール・アンダーソンに任せて「白人の救世主と理解不明の現地語を話す有色人種を救うミラジョヴォヴィッチ」という差別的かつモンハンの要素の一切無い嫁PVにしたように、良い加減にカプコンは「ハリウッド様に実写化してもらえるだけありがたい。ハリウッド様の命令には忠実に従うし、それによる改変は何でも受け入れる」姿勢は辞めた方が良いし、その度に「自分達は監修で参加している」とアピールしたり、「この作品は素晴らしい」と褒めるのも辞めた方が良い。

 正直、1話の時点から『ウォーキング・デッド』の焼き増し感は否めないし、現在の『バイオハザード』シリーズが築いてきた「ゾンビ達と裏表の関係性の世界」や「東欧の民俗ホラーやクローズドサークルの殺人一家ホラーとの融合」などの新境地は感じ取れない。抗うつ薬のジョイやニュー・ラクーンシティを利用して人種問題などの社会問題に切り込んでいるような姿勢を見せているが、それも正直浅く、2話、3話と観続けているとその煮え切らなさにストレスが溜まる。巨大芋虫など、一応バイオハザードお馴染みの巨大クリーチャーは登場するものの、ゲームにおけるアンブレラ社の兵器のような展開は無い。

 全8話、全てを観れるかどうかは不安だ。