マーフィー

ミドリムシの姫のマーフィーのネタバレレビュー・内容・結末

ミドリムシの姫(2022年製作の映画)
3.4

このレビューはネタバレを含みます

2022/11/30観賞。

前作が青春群像劇っぽさを出したものの、ミドリムシについてあまり深掘りされてなかった感があったけど、
今回はしっかりミドリムシの物語って感じ。
今回の方が「ミドリムシ映画」といえるかも。

それぞれのミドリムシがキャラ立ってるものの、
掘り下げは全員ではなく一部に絞っていて分かりやすくなっている印象。
野上の成長物語として、駐車監視員のお仕事ムービーとして成立している。
そして一部を切り取れば交通安全啓発動画としても笑

とことん警察を関わらせないところとか、犯罪スレスレどころか拉致監禁までしてしまう集団、駐車監視員に突然憧れる青年などなど、
駐車監視員に詳しくないから知ったことは言えないけど、「いやありえへんやろ」と思うことが多い。
そこはフィクションとして楽しめれば。

前作のキャラクターが少し出てくるので、前作観ててよかったなと思う。
個人的には富士たくやが好きだったので、話だけじゃなくてもう少し出てほしかった。
選挙運動してるとか、せめて街の選挙のポスターがちらっと映って富士たくやとか。そんなんでもいいから。


野上というキャラクターについて。
過去の経験を踏まえて何か強い信念ができて駐車監視員になったのではなくて、
自分でも「何で駐車監視員になったのか分からない」状態は、すごくリアル感があって良いなと思った。
そんな簡単に割り切れることじゃないだろうし、
「自分が悪くなくても、ずっとモヤモヤ残ってる」という表現が本当にぴったりくる心境だと思う。
その揺れがあるからこそ、成長物語としてグッときた。
また高校の同級生に会ったときの、当時の意識高い系をキープしようと取り繕う感じ、痛々しくてすごく好き。

「みんなに愛されるお姫様になること」が最後に回収されるのはニンマリした。いいハッピーエンド。
知念のセリフ完コピと、競歩の後ろ姿も思わず笑みがこぼれる。


そしてみんな大好き知念おじさん。
真面目なやつが損をする社会が許せないくせに、
駐禁稼ぎのためなら結構真面目じゃないこともするという。

知念についてはキャラクターが中盤ブレるのだけがちょっと良くなかったかなと思う。
後半から終盤の知念が教師時代の不良生徒、サウザー(笑)に出会ってからの動揺っぷりやブレ方はいいと思う。
クセもの知念の弱さ、人間っぽさがいよいよしっかり出てくる感じ、
そして野上が知念が語ったプライドの話をもって知念を励ますところに繋がっていて、
野上の成長物語という展開としても分かりやすくて良かった。
それだけに、中盤の表彰された時に「実は罵られたりしててしんどいこともあった」みたいなブレ方は要らなかったのではないかなと思った。
ホロっとくるんだけどね。でも個人的には終盤まで取っといてほしかった。
小出しにしてた「甘いもの好き」とか少しだけ野上に興味持ってる感じとか、その程度で十分癒されてますこっちは笑


サウザー(笑)。
ネーミングセンスが厨二丸出しな上に、
サウザーほどの過去や信念を背負っていないのにその名前を自分でつけた感じも含めて、底が知れる人間が全面に出ててすごく良いセンス(褒め言葉
ウルフが霞む霞む笑
ウルフもだいぶ厨二くさくて笑うのに。

ミドリムシ狩りを思いつくシーン、
「なんかいいアイデアないかなー」と思ってふと見たものから何かを思いつく...
あるあるなんだけど、そのふと見るものがあの3人組から自ら作り出した物(駐禁の紙)っていうのが不自然すぎてw
なんの地産地消ww


トミー(名前忘れた)。
空手やってた設定が全く活きてなくて面白い。
むしろカッとなって人殴っちゃうから武道やってた人としても失格という。
トミーも色々悩みながら駐車監視員として成長していくのかと思わせといてクビになっちゃうのは何でやねんと思うけど、
ただクビになったおかげで警察を躊躇なく呼べるというのは上手い。
まあそもそも警察を呼ぶのを躊躇する界隈ということ自体マジなのか誇張なのか分からないので、
自ら設定した謎縛りを無理やり解決してるだけの可能性もあるけど...。

トミーが殴っちゃうシーンで言うと、
煽ってくる謎の青年の行動が謎すぎて。
動画撮って煽ってたから、トミーがブチ切れたところだけ切り取ってSNSにあげて炎上、みたいな流れを想像できたけどそうでもない。
さらに車の持ち主でもない、ただマジで煽ってるだけ。なんやこいつマジで奇人。


前作もそうだったけど、テンポがよくないところがチラチラあるのが気になった。
映画の手法とか詳しくないのでどう表現したらいいのか分からないけど、なんていうかあの「明らかにこのカット別で撮ってるよね」みたいなカットの始め方(「歩いてるシーンを映したというよりカメラが回ってから歩き始めてない?」みたいなやつに代表される違和感)が気になってしまう。
これが演技の問題なのか演出の問題なのかは私には分からないけれど。

野上と知念の会話シーンは比較的自然で、妙な安心感があるけど、そこに違う人が入るとすごく不自然に感じることがあったので、演技の問題なのかな。

野上、知念、昔野上から駐禁取った人(名前忘れた)の演技が上手かった。


前作より進化したのは間違いないと思う!
結構長く感じたので濃かったのかな。きっと。



「転職しても緑でした!」は笑った。
マーフィー

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