じょうだいさんの映画独白

女子高生に殺されたいのじょうだいさんの映画独白のレビュー・感想・評価

女子高生に殺されたい(2022年製作の映画)
4.1
B級やミニシアター系で猛威を振るう城定秀夫監督の大作映画。サスペンスとしてのクオリティが異常に高い。それだけでなく、主人公の行く末が「時計仕掛けのオレンジ」を思わせる。

それはオマージュとは違い、現代で当てはめるならば「多様性の時代」が持つ欺瞞と危うさが浮き彫りになる。

彼の命と病はセットなのだ。女子高生に殺されたいという思いを、命を救って真人間に治療することは彼の人生から目的を奪う。

それは果たして正義なのか。時計仕掛けのオレンジの1972年では、アレックスの復活は因果応報的な社会風刺に留まったが、本作のラストは「多様性」というキーワードが絡んだ事で、一層厄介なものになっている。

享楽的なサスペンスとして楽しむだけではない、その先を提示した価値ある一本。

YouTubeレビュー動画
https://youtu.be/XuFr5GdqViY