kakaka

NOPE/ノープのkakakaのレビュー・感想・評価

NOPE/ノープ(2022年製作の映画)
4.4
本作のティザーを見て、「ナイトメア版・未知との遭遇」か、あるいは「血塗れのE・T」、みたいな内容かなと想像したが、いずれにしても、催眠術は実在するし、ドッペルゲンガーは存在すると作品で言い切ってきたジョーダン・ピールなのだから、今回も当たり前のように「あれ」が出てくるんだろうなという予測は容易だが、その斜め上を行く内容でした。
なにせ宇宙怪獣VSカウボーイって、誰がそんな狂った内容を想像するだろうか。
しかもそれを、手巻きカメラという最も原初的な撮影法で捉えようとするなんて。
本作はまるで子供が親から与えられた8mmカメラで、おもちゃ箱をひっくり返して、怪獣やらカウボーイのおもちゃを戦わせ、その様を撮影しているような、そんなメランコリックな趣さえある映画だった。
だからジョーダン・ピールのおもちゃ箱の中には、大友克洋の「AKIRA」なんかも入っていたりするんだな。
妹をかばうため、馬にまたがる兄のアイキャッチサインは、フューリーロードのニュークスを彷彿とさせる激熱シーンだったし、ラストの巨大カウボーイVS大怪獣も最高の一言に尽きます。
劇中で挿入されるチンパンジーのゴーディー虐殺事件も、人間の好奇心を満足させるためのショーが引き起こした悲劇であるなら、この人間VS怪獣を映像に収めようとする行為もまた、同意義のショーである、という風にも読み取ることも出来、このあたりのジョーダン・ピール得意のアイロニーも健在だ。
ジョーダン・ピールが過去に監督した2作と比較して、本作は最も壮大で馬鹿馬鹿しく、きめきめのアクションあり、サービス精神に溢れた楽しいエンタメ作品でした。
kakaka

kakaka