カニペンギン

NOPE/ノープのカニペンギンのレビュー・感想・評価

NOPE/ノープ(2022年製作の映画)
3.8
人心に巣食う人種差別の闇をエンタメ=ホラーとして昇華する抜群のセンスによって一躍ヒーローになったジョーダン・ピールの、最新作はどんなものか……?と期待と不安混じりで観に行ったけど、やっぱりよい監督だなと思った。「ハリウッドでヒーローになって大予算で映画撮ってもよいことになった自分という立場」ごとひっくり返すアイロニーに満ちていた。

いいかげん俺たちを見るんじゃなくて、俺たちを見たいと思う醜いお前たちを見ろ。

ラストショット、コテコテの「カウボーイもの」のヒーローのようにクールな馬上姿の主人公。その後、太文字で「NOPE」とタイトルがでかでか出る演出は、「黒人がヒーローになるカウボーイ映画なんて、こんなものはNOPE=ありえない」、というこれまた痛烈な皮肉のようにも感じた。

以下メモ

同じ被差別属性であるアジア人は、「カウボーイの世界観」をカネに変えてよろしくやってたりする。見せ物や興行に割り切ってしまえば「ビジネスチャンス」はある。
ゴーディと目が合うイエローモンキー。二人には友情が生まれるかもしれなかったし、事実生まれたのかもしれない。手が触れ合いそうになるその刹那、ゴーディはあえなく射殺される。連帯できるはずのものが銃で殺されていく。
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