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NOPE/ノープのaalizwellのレビュー・感想・評価

NOPE/ノープ(2022年製作の映画)
4.4
この映画マジで「ヤバい」です。まだドキドキしてる
両手で口を押さえながら「ヤバいんだけどマジで」って心の底から小声で叫んだ
いつも紅茶飲みながら観てるんですけど飲む暇が全然無くて全部飲み切る前にエンドロールが来ました こんなことなかなか無い
観賞後即UHDポチった ポスター付きのやつ
ジョーダン・ピール監督、間違いなく天才です(昨日観たゲット・アウトもめちゃくちゃ良かったし)
これはね、画面サイズと音響がかなり大事です
部屋真っ暗にしてデカい画面と良い音響で観たら意味わからん感情になること間違いなし
ただでさえ面白いうえに社会問題まで取り入れられてるんだよな... 凄すぎる...
これも2回目以降も楽しめるタイプのやつだね(特に後半)
初見だと感じなかったからもう一度見ないとわからないが、もしかして2回目見るとなると前半部分が若干グダグダか...?
それでもトップレベルで好きな作品にランクインです!


〜〜以下ネタバレ〜〜






ていうか個人的にマジで感動してるのが、"物理学者エンリコ・フェルミが最初に指摘した、地球外文明の存在の可能性の高さと、そのような文明との接触の証拠が皆無である事実の間にある矛盾" 通称「フェルミのパラドックス」に抵触してないとも考えられるところ。これマジで凄い。
マルクス主義の考古学者ゴードン・チャイルド(1892年-1957年)の定義では、文明と非文明の区別をする指標として、人口、都市、職業と階級の分化、などが挙げられている。
これは「一匹の謎の生命体」なので、間違いなく「文明」ではないんですよ。
「UFO系」「未知との遭遇系」の作品であれば99.9%ぶち当たるであろう「フェルミのパラドックス」を回避しているというのは、本当の本当に凄いところだと思う。

あと全然話変わりますけどあの材質とフォルム考えたの天才すぎると思いませんか???キモ怖すぎるんですけど???地球に存在してるようでしてなさそうな材質と作られ方って感じを表現するの上手すぎるでしょ
一瞬エイとか深海魚っぽい材質に見えたシーンがあっていかにも「生き物」って感じがしてマジで背筋ゾワった

「有名になる」「金持ちになる」という欲望で溢れる今の社会への風刺も良かったね
手動カメラおじさんの「天才故の選択」も良かった。ああいう選択を躊躇せずできる人が本物の天才なんですよね

チンパンジーとジュープについて。
ジュープっていう登場人物だけど、チンパンジーが暴れてる時、靴が直立してるのを見て、若干笑ったような気がしたんですよね(私だけ?)。
多分あの靴があったおかげでチンパンジーと目を合わせなくて済んで、おかげで殺されずに済んだんだと思う。そして最後はグータッチまで行って、俺は殺されない、俺は飼い慣らすことができる、という謎の自信をもつことになる。そのせいで今度はGジャンを飼い慣らそうとしてGジャンを牧場付近に居座らせることになり、そのせいでOJの父親が殺された。この説が正しければジュープの生還は靴が直立したという奇跡のおかげであり、OJ、OJの父からすると靴の直立は最悪の奇跡なんですよね。
この「飼い慣らす」というワードはGジャンとチンパンジーの共通点のひとつでもある。
『奴がここに居座ったのはジュープが飼い慣らそうとしたからだ。協定を結ばない限りムリだ』
飼い慣らそうとしたけど協定を結ぶ前に殺される「思ってたより凶暴だった」という流れが共通してますね。
ジュープはそこそこサイコパス性、残虐性のある人間だと思う。チンパンジーが暴れた事件のことを楽しそうに語ってたし、そのシーンでも一瞬フラッシュバックしたあと「伝説」と笑いながら言ってたし、ショーでも馬を食わせようとしてたし。
テレビ番組も「チンパンジーをキレさせて笑う」って内容だったし、ショー然り、「誰かを傷付けて金を得る/有名になる」という人で溢れる今の社会への風刺かなと思った。(チンパンジーとジュープ絡み以外でも、主人公たちやバイクで転んだ人など、「金持ちになる」「有名になる」ことへの風刺は強く感じたね。カメラで撮るってのも今っぽい)
あとは、「ミスリード」の役割もチンパンジーには間違いなくあったよね。動物を暴走させる能力があるのか?とか、動物の脳を乗っ取れるタイプの宇宙人?とか、もしかしてあれがもう既に宇宙人?チンパンジーの見た目の地球外生命体か?猿の惑星みたいだな?ETっぽいシーンもあったし?とか、色々勘ぐってしまった。予想を全部裏切って「ええー!船自体が生き物なのかよ!」ってなるあの瞬間のなんともいえん感情がマジで最高。

良かったところを挙げたらキリがないね
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