Ark

炎の少女チャーリーのArkのレビュー・感想・評価

炎の少女チャーリー(2022年製作の映画)
3.0
2023-54
特殊能力を持つ両親の間に生まれたチャーリにも特殊能力があり、軍事利用しようと政府の組織“ザ・ショップ(店)”に追われている。ある日チャーリーが学校でトイレを吹き飛ばしてしまったことから組織に居所がバレてしまう。父親であるアンディはチャーリーを全力で守りながら逃亡するのだが……。


まず言っておくと、悲しいことにザック・エフロンは出番少なめ。チャーリーを守るパパは重要な役柄だけど、登場シーンは少ないし、後でネタバレするけど結末がアレ。ホラーではない。

見所はパパのド根性と終わり方。

ネタバレあり↓


父親のアンディは“ロト・シックス”という不思議な薬を飲まされテレパシーで相手の心を操る能力を、母親のヴィッキーもアンディと同じ薬を飲まされて物体を自在に操る能力「サイコキネシス」を得ている。その2人の間に生まれたチャーリーは人や物体を発火させる能力「パイロキネシス(自然発火)」を持ち、10代を迎える頃に制御困難になる。
トイレを吹っ飛ばした日の夜、アンディとチャーリーが不在の間に組織が差し向けた男が家に侵入しママが殺される。そこから2人の逃亡が始まる。

短いしテンポよく進むので飽きない。しかし、やはり超能力系には入り込めない。能力シーンはカッコいい。

頼むからチャーリー、パパの言うこと聞いて……。

アンディはチャーリーに、赤ん坊だった頃に攫われたチャーリーを救出した際に能力を使って殺人を犯したことを明かし、「能力を使って人を殺してはいけない」と教えるが、最終的にアンディは最後の力を振り絞ってチャーリーを操り、自分ごと組織の人間を燃やさせる。
これが観てて辛い。結構最初の方からパパは娘のために無理して能力を使っている。使う度に目から血が流れる……。これもなかなか凄い絵面。その姿がちょっと怖いんだけど、それでもザック・エフロンの男前さが消えてないのがもっと怖い。

白状しましょう!ザック・エフロン目当てで観ました。父親役という新しい姿が見られたのは嬉しい。
しかし、ザックを使ってなんでこうなる??って言いたい。著名な人は多分彼くらい。彼のギャラに全部持ってかれたのか?ってくらいキャストが地味。あと早く死にすぎ(笑)娘を守るためなら自分もろとも死んでも構わないという父親としてのド根性には度肝を抜かれるし、“ここまで来たらもう逃げられない”って考えも分かる。でも少しは抵抗してくれって言いたい。てかシンプルにパパが死ぬのを見るのが辛かった。(パパが死んだ時点で残りの10分はどうでもよかった)
他の作品でもそうだけど、スティーヴン・キングってこういう残酷なことをするのが好きなのかな(笑)リメイクだから原作をいじってる可能性もあるけど、前作も原作も知らないから分からない。

主演の子役が下手。
1度ラジー賞にチャーリーを演じたライアン・キーラ・アームストロングがノミネートされたが、批判を受けて名前を削除したらしい。主演を務めたとき11歳だった少女をノミネートするのは倫理的にどうなのかって意見には賛同するが、正直ラジー賞ノミネートも頷ける演技。ド下手ではない。でも、決して上手くはない。

最後に組織の人間を燃やそうとするシーンは、人間火炎放射器じゃん!(笑)って笑ってしまった。

チャーリーの母親を殺し、その後も彼女を追い続けたレインバードが唐突に彼女を助けることに理解が追いつかなかった。説明するセリフがないし、あっても解りづらくてよく分からん。私なら確実にママを殺した復讐のために燃やすな(笑)

見事に誰も幸せにならない作品だった。両親を犠牲にして復讐を果たして、チャーリーは何を手に入れた?2人とも意志とは関係なく死んでしまったが、惨劇になる前にどうにか出来なかったんだろうか。若くして全てを失ったチャーリーは今後どうなってしまうんだろう。レインバードに助けられて手を引かれてどこに行くんだろう。
考えるほどに興味を引かれ、考えるほどに鬱エンドを噛みしめることになる鬱エンド系SF映画だった。

パトリオット(ドラマ)で嫌な上司を演じたカートウッド・スミスが少しだけ登場。
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