パワードケムラー

レックス - REX -のパワードケムラーのレビュー・感想・評価

レックス - REX -(2004年製作の映画)
3.5
 原作小説のエリック・ガルシア作『さらば、愛しき鉤爪』をはじめとする「恐竜探偵ヴィンセント・ルビオ」シリーズが好きで、『シン・ウルトラマン』を見て「非人間から見る人間社会と非人間社会」の映画が見たくなり再視聴。

 顔つきなどから他者を判別する視覚に依存したホモ・サピエンスとは異なり、フェロモンなどの嗅覚に依存した他者を区別する進化を遂げた恐竜たち。彼らは人間社会にうまく溶け込み、そしてその存在を隠しながら生きている。そのような彼ら独自の文化の表現がうまく、嗅覚に依存しているため、事件現場では匂いから痕跡を辿り、それによって嗅覚による三次元的な空間把握を行うなどの描写は「恐竜が人間とは完全に異なる存在」であることを示していた。

 そのような彼らが人間とどのように共存するか、それは『シン・ウルトラマン』にも続くSF普遍のテーマだと思う。ハーブ中毒など独自の文化描写も魅力的で、もっと続いて欲しかった作品。