Rita

ナイト・オブ・ザ・リビングデッド 4K リマスター版のRitaのレビュー・感想・評価

3.9
「ゾンビ」の生みの親であるロメロ監督の処女作。

死者が蘇り人を襲い始める事件に直面した主人公たちが一軒家に籠城して内輪で争いながらも、死者からの襲撃をから一夜を生き抜く。

ロメロ監督の「ゾンビ」が公開される10年前の作品だから"ゾンビ"という言葉の概念は無かった。ゾンビの映画の"祖"である不滅の金字塔。

序盤からカメラワークだけでも恐怖が迫ってくるように撮影されていて圧倒された。ラストのゾンビの襲撃のシーンでは、人間の情を巧みに操っていて見事でした。ゾンビたちが人肉を貪る場面をアップで現代の映画では絶対に見ることはないのだろう。原点を知ると今まで観てこなかったことに少し恥ずかしさを覚える。それほどに素晴らしいゾンビ映画だった。

最終的にベンは地下室に逃げ込む。リーダーぶっていたベンではなく、最初から身を守ろうとしていたハリーが正しかったという何とも皮肉なシーンでしたね。

製作年的に黒人が主人公なのは何か意味があるのかと思いましたが監督によるととくに意味はないそうです。ただ人柄が気に入り起用したのだとか。黒人が白人に指示をしたり、白人を殴るという場面は当時の人から見ると衝撃だったのではないでしょうか。ゾンビの恐さだけではなく人間の恐さを"アメリカの闇"として事細かに映し、ロメロはアメリカ人に現実という恐さをも見せつけた作品なのだ。

矢澤利弘さんのトークイベントを聞きました。私が通う映画館には劇場が2つあるのですが偶然隣で「キャメラを止めるな!」というフランスのゾンビ映画が上映されていていたので、矢澤さんがこの映画(ナイト・オブ・ザ・リビングデッド)が製作されていなかったら隣の劇場で上映してる映画は存在してませんて言ってて笑った。
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