真綿

東京=ソウル=バンコック 実録麻薬地帯の真綿のレビュー・感想・評価

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さわやかじゃない松方弘樹。市井の千葉真一が松方を追いかけて韓国・タイ・日本と移動しながらマフィアと大立ち回りをするというプロットはリアリズムで考えるとなかなか破綻しているようにも思えるが、中島貞夫の「傾向映画」の一種として考えればまあ納得はできる。むしろ、警察組織や企業の代行者としての権力を千葉に与えてしまえば、それは致命的な破綻を招く結果に繋がるだろう。「三悪」を追放するという(映画に外在する)大義名分・個人的な復讐という動機が存在しようと、その暴力は権力を伴う抑圧でしかなく、正当性を欠いたものとなる。反逆の主体はシステムの外部にあらねばならない。

ノラ・ミャオが出ているな、と思い久しぶりに『ドラゴン怒りの鉄拳』(ロー・ウェイ&ブルース・リー監督、1972)を観てみたが、本作が『ドラゴン〜』と同年の製作と知り、そのスピード感に驚くなど。
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