両親が離婚した11歳の少女が普段離れ離れの父親と海外旅行に行った時のことを思い出す話。ホームビデオの映像が途中挟まれているが、後半になって父親と同じ年になった娘がホームビデオを見ながら過去を思い出していることがわかる。
子供の頃はきっとほとんど会えなかった父親との楽しい旅行として覚えていたけど、大人になって父親と同じ年になり同じ立場になると、父の色々な苦悩に気づくんだと思います。レビューでは父が死んだように書いてあるのも多いけど、死んだことは直接的には表現されていません。それでも愛する娘と楽しい時間を過ごし、その時間が終わる辛さ。お金の苦労。健気に喜ばせようとしてくれる娘に応えられない苦悩。そういったものが端々に出ていて考えさせられます。
最後には娘と別れ、父親としての役割からも離れて暗いダンスクラブの扉に消えていく姿が父の孤独を印象付けます。少女が主役の話のようでいて、誰も注目しないような孤独な男性を主人公にした話でした。