森永昇吾

世界の終わりからの森永昇吾のネタバレレビュー・内容・結末

世界の終わりから(2023年製作の映画)
2.3

このレビューはネタバレを含みます

端的に言うと「CASSHERN」の時とほぼ変わっていない。


高校生の時はキャシャ観て震えて、DVDBOXで何度も観て、映画の仕事やりたいと思って、映画の学校に入学したほど刺激を受けた訳だけど、今やおじさんになってしまったのか、TheWhale観た直後だったからなのか、まるで刺さりませんでした。


最も気になった点は『台詞の多さ』

1から20くらいまで状況も感情も全部言う。夏木マリさんが全部言う。相手の台詞遮ってまで言ったのは流石に笑ってしまった。

おかげですっごく感情は分かりやすいんだけど、映画そこそこ見慣れてるので、全部言うって演出は恥ずかしくて堪えられなかった。映画で伝えたい事全部言ってたらこうなるわな。

終末ものあるあるなんだけど、状況説明がラジオとテレビで流れて終わり、ってやつしんどい。説得力が映像に全くなく、いきなりデビルマンのアーマゲドンみたいな世界になってポカンとした。あんなんでJK占いで政府が動いてるって信じるんかいな、とか、ゲバ棒で襲いかかるって余程やで、とか。無限の人が群衆を焚きつけて悪意を増幅するようなシーケンスあればグッと締まる気がする。

金掛かるのは分かるんだけど、あまりにもCG部分が安っぽ過ぎるし、ロケ地も洞窟で予算使い切った感が漂ってた。時代物のロケセットって難しいのよね、、、暴力描写も血がやたら飛び散るだけで、なんか中途半端な感じがして、ルックを大事にしてる作品なのになぁって感じました。お金ないなら無理はダメやね。

色味は素晴らしいと思いました。


あと人物のディテールが見えてこなくて、公安っぽい連中がヤバい人達にしか見えない。たかだかカッターナイフ持ったJK相手に銃突き付けてて脅すところは笑ったし、終末だから射殺していいって思ってんのか、民間人をゾンビみたく撃ちまくるのも面白くて、占い師云々の前にこいつらの知性と情緒が心配になるよレベル。児童福祉の話でJKに言いくるめられる所は可愛い。

無限ピープルもよく分かんなくて、北村さんの取り巻きは無限の住人なのかしら?バシバシ死んでたけど、、、死を超越した人が何を恐れて主人公の邪魔をしてんのかもよく分からん。あの暴徒達は無限の転生者みたいな解釈なの?

官房長官役が、作り手が溜め込んだ政治家へ憎悪を3Dプリントしたようなイメージしかないキャラでまさしく偶像だった。よくよく考えると、もしかしたら、疲れ果て擦れてしまった世界線の只野係長だったのかもしれない。


夏木マリさんはもう、言うのも野暮なくらいただの○婆婆だった。主人公を導く謎の老人役モーガンフリーマンポジションといえば夏木マリなのにそのままんま出て来たら「そのまんまやな、、、」って感想が渋滞して他が出てこない。ドラキュラのオマージュやったんか、、、


トゥームレイダーみたいな富永さんのシーケンスは、突拍子のなさと中途半端さが振り切れてて辛み。

タイムパラドックスって整合性取るだけで大変なのでやめときゃいいのにってなるし、案の定都合の良い事象改変にザワザワする、、、デザインがダサすぎる楕円の端末もなんか、、、声も台詞ももうだめだ、、、


台詞の間が殆どないので、その役から自然に出て来た言葉って感じが無くて、脚本家の主張をを言わせる為に作られた人形の群像にみえる。

エンドロールに残念なタイアップ曲が流れなくてスッキリしていたのは、とっても良かったです。
森永昇吾

森永昇吾