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レオのhasisiのレビュー・感想・評価

レオ(2023年製作の映画)
3.9
フォートマイヤーズ小学校。
5年生の教室。水槽の中ではムシトカゲのレオとカメのゼニガメが飼われている。
夜のPTAで担任のサリナス先生が産休を発表。レオは、親同士の会話からムシトカゲの寿命が75才だと知る。
自分の年齢が74才だと知って驚愕。死ぬ前に人生で学んできたことを、できるだけ多くの子供たちに伝えようと努力しはじめる。

監督は、ロバート・マリアネッティ。ロバート・スミゲル。デビッド・ワクテンハイム。
脚本は、ロバート・スミゲル。アダム・サンドラー。ポール・サド。
2023年にNetflixで公開されたCGアニメ・家族向け・コメディ・ミュージカル映画です。

【主な登場人物】🏫🥬
[アンソニー]わんぱく。
[イーライ]ドローンママ。
[キムラ]コーチ。
[コール]悪戯っ子。
[サマー]おしゃべりラジオ。
[サリナス先生]産休。
[ジェイダ]富裕層。
[スカイラー]ポニーテール。
[ゼイン]短髪。
[ゼニガメ]相棒。
[TJ]むだ毛。
[マルキン]臨時教員。
[ミア]抱きつき癖。
[レオ]主人公。
[ローガン]お団子。

【感想】📱🐢
製作会社は、主演しているアダム・サンドラーのハッピーマディソンプロダクション。
アニメーションを製作しているのは『スーパーペットのDCリーグ』のアニマル・ロジック。

スミゲル監督は、1960年生まれ。ニューヨーク出身の男性。
サタデー・ナイト・ライブ(SNL)の脚本家としてスタート。コメディアンで俳優で人形遣いでもある。
今回は曲も担当しています。

🦎〈序盤〉🦋🐛
オープニングの歌でクラス全員のキャラを紹介する怒涛の展開。
パパの愛情が平等に横に広がってゆく爬虫類視点。正義の味方。
永久に終わらない子育ての幕開け。

相棒と織りなす子供見守り視点漫才。
子供を観察して感想を喋っている監督を観察してレビューを書く三重構造に。

コメディで相棒がいて学園生活で『ボトムス』によく似ている。なぜか同時にやってくる不思議。
『ボトムス』の監督も卒業せずに「小学生楽しい~」と、さらに下に移動するのかもしれない。

……思いのほかレオの話が長い。
(流石じじい)
言論の世界で著名な人でも、対談なのに毎回同じ話を1人で喋り続けるようだと「もうこの人が出ている番組は聞かなくていいか」とスルーするように。
流行に興味がある人だったら、メッセージ性は弱くなるが、毎回違う話をしてくれるから飽きずに聞いていられる。

🦎〈中盤〉🫏🐒
成長期の根の深い悩みを全員分、さらさらこなしてゆくから、頭がこんがらがる。
長老のようなレオのアドバイスで問題がつぎつぎ解決されてゆく夢の世界。
家庭訪問は大事だけど、話を聞くのならともかく、
思い通りにしたいだけなんじゃないの? と懐疑的に。

一応、ツッコミが入るけど、すぐに救済活動が再開されるので白目に。

🦎〈終盤〉🐊🚍
冒険による動きの増大と、疑似的な別れによる死の想像。
舞台が野外に移り、体験を重視した子供向け映画らしい面白さに変化する。
死に取り憑かれた先生の授業が終わった解放感といったらない。

プロットのテンプレに従う、と言うよりは、自分の身に迫るイベントが描かれているので、説得力があり、伝わってくるものがあった。

話のまとめ方が上手くて驚き。
平和主義によって綺麗に伏線が回収されて、物語が円環する。
敵が1人もいない世界に癒されてほっこりした。

【映画を振り返って】📗🙄
小さい子向け。影響を与えることに重きが置かれた内容と、動物たちの設定が面白い。

老人ネタが多く、世代間ギャップで笑わせるつくり。
子供をあやしているような。体を張って喜ばせようとしている場面が多い。
その分、小父さんからすると白目になっている時間が長かった。

🚌生徒1人ひとりにアドバイス。
ただでさえ、年寄りのうん蓄なのに、アニメらしい動きではなく、お喋りが長くて頭に入ってこない。
こういう子いるな~、程度に気軽に見るのがいいと思う。
(2周してもレオの話が思い出せない……)

スミゲル監督の長男は、自閉スペクトラム症(ASD)らしい。
ASDとその家族を支援する非営利団体の理事をやっていて、募金を集める活動を行っている。
障害のある子供を残して先に死ぬ。
それで大江健三郎のような視点になるんだな、と妙に納得した。
レオが子供のために健気に努力する親の姿と重なって印象は変わっていった。

死ぬ前に自分のDNAを映画にして残したい、って監督の思いが重くて辛い。
子供の元気な姿を眺めているはずなのに、生気が吸われて背中が曲がってくる。
(喋りも影響されてゆっくりに)
話は少しそれるが、アカデミー賞のノミネート作品を中心に、暮れから春にかけて枯草のような映画が目白押し。
そんな年もあるだろう、と割り切るしかないが。先が思いやられるし、どっと疲れた。

アダム・サンドラーとSNLの仲間が先生に扮し、子供たちと交流するコメディアン学校のような映画。
ちょい役でも大勢登場させる作風が『HUSTLE ハッスル』の時と共通している。
彼らが子育てで学んだことや、印象的だったエピソードが詰め込んであるので、小さいお子さんと楽しむには打って付け。
子育ての大変さや、世代間のギャップを懐かしむにも優れた映画だろう。
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