さ

ダリエン・ルート “死のジャングル”に向かう子どもたちのさのレビュー・感想・評価

3.5
ハイチ人の家族が、アメリカを目指して「死のジャングル」を越える。

ハイチでは大統領が暗殺され、政治が不安定だ。産業もほぼなく、経済的に行き詰まっている。「時の政権の影響を受けてしまうのは、いつでも立場の弱い人たち」というアフタートークでの言葉が胸に刺さった。

国を脱出することでしか、他に生きる道はない、という難民のことを知らなければならない。先進国に生きる者として、真剣に向き合い、行動する必要があることを痛感した。

「ダリエン・ルート」と呼ばれるパナマ国境に跨るジャングル。ここを抜けるためには「道なき道」を進む必要がある。腰まで浸かる流れの早い濁流、垂直の崖、野生動物や、ギャングによる暴力。途中、子供から大人までの遺体と対面してきたハイチ人の家族の言葉を聞き、言葉を失った。

本来ならすべきでない経験を、生きるために強いられている。今この時にも、命懸けでダリエン・ルートを越えている人たちがいることを、心に刻む。
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