シレーニ

交換ウソ日記のシレーニのネタバレレビュー・内容・結末

交換ウソ日記(2023年製作の映画)
4.7

このレビューはネタバレを含みます

物語 10点
配役 10点
演出 8点
映像 10点
音楽 9点
---合計47点---

予想に反して(失礼)良作だった。最初はヘビメタ?ハードコア?音楽の連発と、それにヘドバンでノる主人公にどうしようかと思ったが、初々しくて瑞々しい希美と瀬戸山のやりとりがいかにも青春恋愛映画でキュンキュンしたし、意外にも細かな伏線が張り巡らされていて、それらがしっかり鮮やかに回収されて感動すらした。いくらなんでも瀬戸山距離近過ぎない?とか、筆跡で気付かないの?とか、江里乃が希美を許せるの有り得なくない?とか、色々思っていたこちらの疑問を見透かした種明かし、素晴らしかったです。感動し過ぎて同じ日に二回観た(笑)。

遠くで吹奏楽部の演奏が聴こえる放課後の描写とか、いかにも高校らしくて良かったのだが、一つだけ元放送委員として放送室の設備等々が気になってしまった。あんな開放的な窓があって誰でも常に出入り自由だなんて有り得ないし、全校放送で告白なんて間違いなく職員室呼び出し案件だが……うん、まあ、そこはフィクションですものね。
いやでも球技大会?一連のシーンは凄くリアルで懐かしい気持ちになった。
ここ、球技大会なのが良い。文化祭とか夏祭りじゃなくて、球技大会。作り物でないリアルさ。そして大会そのものは純粋な学校行事で、恋愛に関するジンクスはあるが、かといってベタな恋愛ドラマが起きないところが良かった。
恋愛だけではなく、希美の成長や友情が描かれているのも良かった。米田と優子の恋模様の絡め方も上手かった。主人公二人の恋愛を主軸にしつつ、その他の要素、エピソードが110分の中に見事に織り込まれていた。

役者さんも殆ど知らない方ばかりだったが、皆役にハマっていたし、上手かった。
音楽は冒頭で述べた通り時々挟まるマキシマムザホルモンの楽曲にビビったけど、歌入りの曲含めて作品によく合っていたと思う。主題歌の1番が希美目線で2番が瀬戸山目線だと知っているとエンドロールが楽しい。ただ、希美の手紙のシーンのBGMのホルモンは正直煩かった(笑)。希美が自分を曝け出した大事なシーンではあるのだけれど、せめて手紙が始まったらボリューム下げて欲しかった。ここで演出マイナス1点。
映像は秀でて美しかった。普通の邦画で、おそらく然程予算を掛けていないだろうに、カメラワークが大変見事。リアリティを保ちつつ、場面毎に人物の映し方がよく練られており、ここぞというところの光加減や角度が上手い。ただ、高橋文也さんファンではないので、時折挟まる希美目線の彼のドアップは正直不要だったけれども(笑)。
普段避けている学園恋愛ドラマもたまにはいいなぁと思った。


二回目に観たら大分初期の時点で瀬戸山は自分の誤解に気付いていて、そこからの表情や言動をに注目すると面白かった。あと、江里乃が希美を許した(というか多分そもそも然程怒っていなかった)流れも自然に感じられた。
でも誤解に気付く前から瀬戸山は距離近過ぎたのは如何なものかと思った。好きでもない女の顔をベタベタ触るな。好きでも触るな。


※上述の通り2023年7月9日に2回、その後9月7日に1回、合計3回鑑賞。
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