ポールダンスを題材にしたオリジナルアニメ『ポールプリンセス!!』の劇場版。
奇抜な題材の割に内容は王道。ただ正直、話は駆け足感が強くて雑な印象。YouTubeに上がっているアニメも全8話で合わせても1時間弱しかなく、今作も上映時間は1時間。尺を考えれば駆け足になるのも仕方ないとは思うが、もうちょっとやりようはなかったのかとも……。
だが、そのぶんダンスシーンは想像以上に良かった。ポールダンスと聞くと、肌を露出した女性が垂直に伸びた金属のポールを使って扇情的な踊りを披露するものというイメージを持っている人も多い。実際、数年前に熊田曜子がポールダンスをしている写真を上げた際にも、ネットからは下品だの何だのと冷ややかな反応が少なくなかった覚えがある。そういうセクシーさに重きを置いたお店があるのは確かだが、とは言えポールダンスはかなりの柔軟性と鍛えられた体幹が要求されるスポーツであり、インドでは800年以上の歴史がある歴とした器械体操だ。決してやましいものではない。今作も実に健全である。と言うか、ダンスシーンを見たらそういう気持ちは吹っ飛んだ。どうやら作中のダンスシーンは、実際にダンサーの動きをモーションキャプチャして、それを3Dモデルに落とし込んでいるらしい。つまり、手付けである程度調整しているとは言え、重力が働いてないのかと思うほどの超絶技巧が現実に実行可能ということだ。そりゃあ誰だってワクワクする。
話はいくらでも作れそうな建て付けなので、もう少しじっくり丁寧に作ったものが見たい。
