コキジ

佇むモンスターのコキジのレビュー・感想・評価

佇むモンスター(2023年製作の映画)
3.5
最初「なんだこの自主制作っぽさは」と思っていたら本当に主人公が自主制作映画を仕事の合間に趣味で作っているという設定でした。主役・ゾンビ役・特殊メイク・監督・脚本・編集:全て主人公中村。
普段は愛犬コロを乗せて配送の仕事をしながら休日は映画製作。
そんな或る日、孤独な女児ジュリアと出会う。
「中村さんって、ロリコン?」と職場の同僚に聞かれ。
この辺りから一気に面白くなってきます。

店内で揉めると「クソ迷惑な客」とSNSに晒される女児の父親。父親はDV夫になり、母親に液体をかけて火傷を負わせる。顔を人に見せれなくなった母親は子供にネグレスト。家庭内暴力の連鎖。
女児ジュリアは主人公中村と中村の愛犬コロに懐き、中村が1人で作っていた映画にジュリアも加わる。中村はジュリアの生傷を案じて児童相談所に相談するも梨の礫。
事態は不幸にも女児が中村に懐き過ぎた為に「9歳女児誘拐事件」へと。
中村は逮捕、女児ジュリアと愛犬コロとも引き離される。
ジュリアはその後、母親にビルの10階から突き落とされ死亡。
愛犬コロも中村が刑務所にいる間に死亡。

中村自身、幼少期に虐待を受けていた。拾っきた犬は保健所に連れ去られ、父親には「犬を飼いたきゃ稼げるように勉強しろ!」と殴られる。
だから大人になってコロを飼って、虐待を受けているジュリアを放っておけなかった。

最後に字幕で出る、
「歌舞伎町で母親にビルの23階から突き落とされた9歳の男児」
というのは実際の事件のようです。
残酷で救いがないんですよ、現実って。

タイトルの「佇むモンスター」というのはお面を被って町を漂う顔を焼かれた母親の事だと思います。
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