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バト・ミツバにはゼッタイ呼ばないからのhasisiのレビュー・感想・評価

3.5
ステイシーは、中学校に通う12歳の女の子。
彼女はユダヤ人であり、自身の成人式バル・ミツバを目前に控えていた。
親友のリディアと共にイベントを準備しつつ、楽しい学生生活を送っているのだが。
とある事件を切っ掛けに、トラブルに悩まされることになる。

監督は、サミ・コーエン。
脚本は、アリソン・ペック。
2023年にNetflixで公開された青春ドラメディ映画です。

【主な登場人物】🎈🍭
[アイリーン]用務員。
[アンディ]不良。
[イーライ]リディアの父。
[ガビ]リディアの母。
[キャンタージェリー]ギター担当。
[キム]韓国系。
[ザアラ]姉の親友。
[シュムリー]DJ.
[ステイシー]主人公。
[ダニー]父。
[タラ]ポニーテール。
[ニッキー]眼鏡。
[ブリー・フリードマン]母。
[ブルーリア]アンディの祖母。
[ミーガン]ドレッド。
[マテオ]留学生。
[ラビ]担任。
[リディア]親友。
[ロニー]姉。

【感想】💿🎵
コーエン監督は、詳細分からず。女優、歌手、コメディアンでもある。監督業は、テレビが中心で長編映画は2作目。

脚本のペックは、詳細分からず。南カリフォルニア大学卒の女性。長編3作目でどれもコメディ。

原作はフィオナ・ローゼンブルームが2005年に出した同名ヤングアダルト小説。
本名、アマンダ・スターン。
おそらく1970年代生まれの女性。ニューヨーク育ち。
高校生でオフブロードウェイを経験。テレビに移動してコメディシリーズの制作を経て、1999年に作家業へ。
子供向けの小説を発表する時はフィオナの名前を使っている。現在9冊発行。

文学イベントの主催者でもある。
自身のパニック障害の経験を活かし、メンタルヘルスの観点から講演を行っている。
編集や、キュレーターの仕事もしているらしい。

制作はパパ役のアダム・サンドラーが担当している。1人だけ大物が出演しているので、画面に出てくると「うわ」となる。

👗〈序盤〉🏞️🩸
⚽中学生。
ポスターの印象からティーンのロマコメかと思えば、日常生活を追ったもの。
恋愛がサブ・ストーリーだし、友情ってほどコンビで苦境を乗り越えていくわけでもない。
私小説をコミカルにしたようなものなので、より現実に近い。

映画だとどちらかに振り切らないといけないので、本来だと扱えない原作だけど、低予算でつくる配信ならでは。
そもそも普通に学生をしていると、課題やってイベントの準備をして友達と遊んで「あの子なんかいいな」程度に恋してと、忙しさの中であわただしく過ぎてゆくわけで。

1日中恋愛で頭いっぱい。イベントすべて恋愛がらみ、なんてテレビドラマのようには成らないので、共感度は高い。

色々なテーマに興味を抱いて多方面で活躍する作家の性格そのまま。
ちなみに、ステイシーの性格で恋愛していると相手に必ず殺意を向けられる。わたしには分かる。

☘️協調性。
横の関係を大事にして、前に出る力が弱い。上手くいかないと周りのせいにする。
ソファーでごろごろするのが好きになるので、哲学への興味が強くなる。

変わっているのが、好きになる男子で、細身でぱっとしないジャイアンみたいな性格の暴力的な子……。この普通に女子が好きにならないタイプのアンディがキラキラ演出で王子様のように描かれているので、時が止まる。

一応、物語上は噛み合ってはいる。現実だと、ステイシーに足りない推進力を補ってくれる働き者タイプに心惹かれるはずだが。
舌が敏感で体質が合わないのに、辛い物好きのような。ジェットコースターで死を覚悟するのに乗りたがるような不思議な感じがする。

……ん? 人物説明で触れたように、受けが弱いのに、人前に立ちたがる性格そのままなのか。

記憶に残る落ち。
ネトフリのいつもの家族向け映画だと思ってぼーとしていた頭を殴られた気分。
小説にしたくなるのも分かるトラウマイベントだった。

👗〈中盤〉👩🏼‍🦼📚
💻可愛さ余って憎さ百倍。
中学生の親友イベントが懐かしい。1幕の落ちもそうだけど、普遍的なネタで、自分の記憶が蘇ってくる。
トラウマを解消するための執筆なので、見ていて痛い。

……けど、映像として残し、いつでも中学時代の傷を開けるってどうなのだろう。
強引にタイムマシンに乗せられた気分。10年ぐらい引きづっていた辛い記憶の蓋が開いて、体にいいのか悪いのか分からない。
(脳が活性化するから若返りにはいいか)

登場人物たちが冗談と現実をミックスさせて真顔で喋るから傷がえぐられる。
長く生きていると、色々経験しているから染みる。

👗〈終盤〉🪩👑
他人に知られたくないような恥ずかしいネタは、映像だとリアクション次第で悲劇にも喜劇にもなるらしい。
滑らずにちゃんと笑える仕上がりに感心させられる。

😱羞恥心。
『マスクガール』でもテーマになっていた世間に秘密がばれる。
日本のドラマでも見たことあるので現代女性定番の関心事なのかも。
ただ、普通フィクションだと自虐ネタにするのだが、他人を傷つけるのがリアル。
自省の念をこめて。戒めとして描いてあるのだろう。

過去改変のよう。
当時言えなかった自分の本音をつづって思い出を作り変えているように見える。
体には良さそうなので、私小説を書く時には参考になりそう。

ただ、絶妙なバランスで成り立っているので、他人が読んで白けないように書くのは難しいだろう。
べつに個人で楽しむ分には好き放題書けばいいし。
すっきりできれば、次の一歩を踏み出すための手助けになる。

【映画を振り返って】👟👠
せきららに子供時代をつづってあって心の動きがリアル。
恋と友情。身勝手や欲望がせめぎ合って揺れ動いている。

子供時代を振り返ると「どうしてあんな事したのだろう」と、大人になるとあり得ない行動の連続。それを上手に再現している。
本人もあまり覚えてないので、親に相談したのだとか。
(もっと覚えてないだろ)
それでも、確認作業しているうちに思い出すこともあるし、擦り合わせは大事。

映画の感想もそうだけど、相手の話は刺激になるし、話しているうちに気づくことも多い。

冒険。
火遊びとか言われるもの。これが女性の心理か、と男性にも勉強になる。
家庭に収まる前。若い頃には色々ある。それが垣間見られて、人に歴史あり。

📱舞台が現代に。
子供たちがスマホと同化していて、つねにラインか動画を見ている。
ティーンに向けて作られたような映画。
動画編集含め、よくここまでアジャストしたな、と感心させられる。
脚本の勝利。

姉のロニーは、何故かいつも映画を観ていて、視聴者の代表のような存在。
さらに、姉の親友であるザアラがイマジナリーフレンドだとしたら……。
現代の若者の実情を反映しているようでもあり、現在の作家の分身のようでもある。

それにしてもユダヤ人の若者の話=バル・ミツバを描くのが定番に。いつもお祭りしているような印象がついて、世界中から勘違いされそう。
時代の移り変わりに合わせてイベントの形態も変化しているので、いまを知るにはいい映画。
日本の民家の屋根の上を忍者が走っているくらい違ってそうな気もするけど。
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