はち

緑の夜のはちのネタバレレビュー・内容・結末

緑の夜(2023年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

ふたりの世界にぐんって吹っ飛ばされた。展開的には「いやこの流れでラブシーンになる気はしたけど、、早くね!?」とか「えっそれはどういう終わり〜!!!」って意味わからなさもあったけど、異性愛ならこういう映画いくらでもあるやんという点で女性同士のこういう映画出るのよいじゃんと思って5点🙆‍♀️つくたべドラマで「いろんなレズビアンが見たい!」の話に超共感したあとだったのでなおのこと響いた。緑の女は最初っからやばかったし2人とも超魅力的だった…。
あとは主人公のジン・シャが夫から性暴力を含めたDVを受けている訳だけど、中国から来て配偶者ビザで韓国に住んでるから逃げられなくて…。この立場の弱さ、きっつかった。現実問題としてもこのパターン普通によくあるみたいだし(日本でもあるし、技能実習生の孤立妊娠・出産問題ともすごく繋がる)、そういう境遇の人を主人公として描いたのもこの映画の大事な点なんじゃないかな。
緑の女の描き方として、最悪な彼氏に動かされる麻薬密売人でもあったけど、それを従来的な?えっちなお姉さん、ではなく主体的に動き、彼氏なんてぶっち切り、ジン・シャと自由を獲得するために動き出すひと…って描いたのも新しかったかもしれない。

そして、映画に出てくる他の人物もマイノリティかつ、その人たちと主人公の女性ふたりの権力勾配を明示的に描いているのもすごく意欲的な作品だったと思う。
ゲイでドラァグ?の人と発話障害?(ちょっとこの辺りの知識がびみょかも、すみません)の人が出てきて、少なくとも見た感じは男性で、その人たちは男性の中ではマイノリティだけど主人公の女性ふたりには超抑圧的に接してきて、マイノリティ同士の権力関係ってそこまで明確に描かれることがないと思うんだけど、本作ではマイノリティ性を持っていようが、男女のジェンダー差別をやってくるやつはいるよ、ということを強いメッセージとして放っていた。

ふたりの魅力、そして、主人公の属性、他のマイノリティとの権力勾配を通してその文脈でマジョリティな人間に、日々起こるきつさを丁寧に描き出し、叩きつけた点でやっぱり5点です!サバルタンが語った!!ってタイプの映画なのでは!もっと見たい!
はち

はち