期待もせずに映画を鑑賞したが、これは面白い。正直言って参りました。1作目のオマージュ的作品かと思えば、２作目のダミアンを彷彿させるサプライズ。脚本の練り込みが素晴らしい。
前半、教会に仕える同僚女性が主人公を誘惑する場面には、神を信じる事さえ、伝統を重んじる事さえ、自由社会では難しいのかと1人悲しくなった。しかし結論から言えば、ここについては制作側の感情コントロールにまんまと乗せられていた。
信仰心が薄れつつある時代、とある教会が再度国民の心に神を宿す為に、皆が怖れる存在アンチキリストを誕生させようと暗躍するのが今作の概要である。畏怖と対面した時、人は神を必要とするのだ。しかしそれは、教会にとって神に背く行為に等しい。神無き時代に教会が守ろうとしたものは、尊厳ではなく権威そのものだった。なるほどこう繋げて来るのかと勝手に感服。
ホラー演出もなかなかだ。誰もいない部屋の端で何かがうごめく場面は映画館で息を呑んだ。他にもオーメンシリーズに則ったホラーシーンの数々には、正統続編に携わる者達の責任感さえ感じさせられた。
雰囲気もオーメンらしく70年代ホラー的。そこに現代的価値観を上手く含ませながら、語る価値のある前日談となっている。
唯一残念なところは続編がある事。今作のみで１作目へと繋げたならば星5をあげたかった。それでもこのクオリティを顧みれば、次回作は十分期待できる。
