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ありがとうモンスターのGのレビュー・感想・評価

ありがとうモンスター(2024年製作の映画)
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生きたいのか死にたいのか…抜け殻のように生きる虫太郎と、それを都合よく利用するジョニー。何の為に生きるのか?どれが自分なのか?売れない劇団員の2人の生活を通して考えるきっかけをくれる。

重くてブラックなものを想像していたがまったく身構えずに見れる。ストーリー自体はわかりやすく、クスッと笑えるユーモアもある。鑑賞後も、自分と重ねてみたり、俯瞰してみたり、セリフを思い返してみたり、色々な角度から楽しめてとても味わい深い作品。

何の為に生きるのかを突き詰めて考え、空虚な感覚に陥ったことは誰にでもあると思う。そこに蓋をして、夢や目標を設定することで皆んな生きているが、そこから抜け出せずさまよい続けているのが虫太郎。うまく蓋ができず、他者を見下すことで何とか自分を保とうとしているのがジョニー。

自分というものが、人と人との関係のなかで形成される相対的なものだとすると、本当の自分なんてものは存在しないのかもしれない。実際にこの感想も、誰かに見られることを考えながら書いている。虫太郎のセリフにもあるように、誰もが何かのフリをすることで何とか生きているだけなのかもしれない。

それでも、痛みや恐怖を感じるのは真実だし、チキンラーメンはやっぱり美味しい。
絶対的な答えはない。本当の自分であろうと自分のフリであろうと、豊かな人生を送りたいとは思う。

虫太郎がどういう40年間を過ごしてきたのか、その変化も見てみたい。
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