2022-62
＠Kanopy参照、記録用
1982年、自動車産業の大量解雇で反日感情が高まっていたデトロイトで、中国系アメリカ人のビンセント・チンさんが2人の白人自動車工に殺害された。しかし、チンさんを殺した犯人は、3000ドルの罰金と3年の保護観察処分で済み、刑務所には入らなかった。この不当な扱いに憤慨したアジア系アメリカ人は、初めて民族や社会経済的な垣根を越えて団結し、汎アジア的なアイデンティティと公民権運動を形成した。
この運動は、移民の有無や民族に関係なく、アメリカ国内のすべての人を対象とする連邦公民権保護の歴史的な拡大につながったことは、大きな成果であったといえる。中国人排斥、第二次世界大戦中の日系人抑留、1992年のロサンゼルス暴動、反アジアヘイトクライム、9・11以降の人種差別など、アジア系アメリカ人の経験とアメリカの公民権運動の歴史において、ヴィンセント・チンは極めて重要な存在であるにもかかわらず、今日、大多数の人々（ほとんどのアジア系アメリカ人を含む）は、彼についてほとんど、あるいは全く知らない。
