このレビューはネタバレを含みます
実在の少年失踪殺人事件を描いた作品。
実際にあった未解決事件を描いた作品という事で、個人的には『ゾディアック』を彷彿とさせるものがありました。
主人公が刑事ではなく、マスコミの人間という共通点からも、もしかしたら意識した部分があったのかもしれません。
物語的には、独自に事件を追う、テレビマンと大学教授が描かれます。
事件の被害者家族を疑う展開は、なかなかにスリリングだったものの、結局、証拠は見つからず…。
このテレビマンと大学教授が実在したのか創作なのかは分かりませんが、事件を視聴率稼ぎに利用するマスコミや、勝手な推理や憶測を流布する世間の声を象徴させたキャラクターでもあったのかなと。
最終的に犯人らしき男へと辿り着く展開も、『ゾディアック』っぽいな~と思ったのですが、あくまで犯人探しが中心だった『ゾディアック』に比べ、本作は被害者家族に寄り添った作りになっています。
モリコーネ風のやたら壮大なテーマ曲も印象的だったし、最後の最後に明かされる嘘の告白からも、本作が1番に描きたかったのは被害者家族の想いだったのでしょう。
地味なタイトルながら、リュ・スンヨンにソン・ドンイルといった有名所も出演していますし、社会性と娯楽性をバランス良く両立させた、なかなかの良作でした。
ちなみに、個人的にも、これで韓国三大未解決事件の映画化作品は全てコンプリート。(他は『殺人の追憶』と『あいつの声』)
どれも映画化するのは難しい題材だと思うのですが、いやはや韓国映画界は逞しいものですね。