こけしフィンガー

変態村のこけしフィンガーのレビュー・感想・評価

変態村(2004年製作の映画)
4.9
この映画、最初見た時は微妙な気がしましたが、何度も繰り返し見ていると不思議と奥が深い映画であると気づかされます。

現に長文で深く考察している方のレビューが目立ちます。

やはり私達が身近に向き合う愛がテーマの作品だからか、色々と感じる人は多いのだと思います。

低評価している方は愛に触れた経験がない方達かもしれません

グロリアは不思議な人です。登場はしませんが、村の男をあれだけ狂気にさせる程の女性はどんな人なのか想像が膨らみます

バルテルだけでなく、村の連中とも関係を持っていた可能性は高いですが、どんな想いで関係を持ち、村からいなくなったのか気になりますね。

マルクに関しては冒頭の老人ホームで高齢者に迫られるシーン。

あれはまさに受難の始まりと、マルクが天性として持つ、誰からも好かれてしまう人物像を表現してますね。

その後のマルクがバルテルに納屋で磔にされたシーンはまさに原題(キリストが磔刑にされた地)から連想させられるキリストの磔刑とリンクしていますね。

この映画は皆さんおっしゃる通り、究極の純愛を描いた作品だと思います。

沢田千可子さんの 「会いたい」 という昔の曲がありますが、大好きだった人が突然亡くなってからは声をかけてくる人をその人が死んだ彼だったらなあ と思ってつい見つめてしまう という歌詞があります。

バルテル達の愛はこれをより進化させた究極の愛なんだと感じます

好きで好きでたまらない人がいなくなってしまった時、目の前の全く違う人をその人だったらいいな と思う→その人だと思ってしまう。

映画で「究極の愛」 という表現を表したくて、それを突き詰めた結果がこの「変態村」だと言われても今では納得できます。

変態村を観たあとでは作品名は伏せますが、船の上で抱き合ったりするような愛が薄っぺらく感じる人もいるかもしれませんね

通しで3回見ましたが、やはりしばらく見ていないと忘れるので定期的に見るのもいいですね。

最後のマルクのセリフの意図は何かという考察も書きたいけど、それを書いたらネタバレに触れそうなのでやめておきます