槙

喜劇 女は度胸の槙のレビュー・感想・評価

喜劇 女は度胸(1969年製作の映画)
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2020年の映画納めはU-NEXTにて「喜劇 女は度胸」(特集上映で見逃したやつ)。森崎東、1969年の監督デビュー作にして奇しくも“お母さん食堂問題”の回答を20年以上前に出してくれていたような快作だった。

「家族」として一つ屋根の下、父母兄弟は暮らすが心はバラバラ。そんな中、生真面目で夢みがちな弟(河原崎建三。今基準の塩顔イケメン!!)がちょっと気の強い女(倍賞美津子)と恋をする、ところから家族の中に2人の女が入り込んで始まる蒲田界隈が舞台のドタバタコメディ。終盤でそれまで家の中で黙々と内職をするだけだった母・清川虹子が口を開いた後の正解!正解!全部大正解!!!のパンチラインの応酬に震えた。女2人の母を見る目の芝居が良い。目だけで女たちが分かり合ってゆくのが分かる。沖山秀子の「コールガールも人間だって言いたいの!」に拍手。男が作った社会なのに、いや、だからこそ思考停止に陥ってしまった父と兄弟を、そして、社会のしがらみを、女3人がひょいっと超えていく感じがたまらない。これ、公開されていた頃はどんな評価を受けていたのか気になる。

この作品は名画座で、渥美清のコメディアンぶりにおじさんたちとガハガハ笑いながら見て最後は唸る、そうやって見たい作品だな。
槙