一色景

おわらない物語 アビバの場合の一色景のレビュー・感想・評価

3.0
この物語の主人公、アビバは幼少期に起こったあることをきっかけに、自分の中にある妊娠願望(ひいては母親になるという願望)に気付く
しかし彼女がそれを叶えるには彼女自身がまだ幼すぎるという事実があった…

ストーリーは何を主題に見るかで印象がかなり変わる
大筋としては妊娠、中絶、小児性愛…またそれらの宗教的解釈をアビバの成長譚という大筋にのせて描いている
話のうわべだけをみるなら、ボーイミーツガール(今作ではガールミーツボーイ)を基本的に踏襲しており、また基本的にこれの繰り返しである
また、単純にアビバを主題としてみると前作の「ウェルカムドールハウス」にとても酷似したテーマ(=愛への渇望)をもっている、この作品とは時系列、世界観も共有しているので是非見て欲しい

この作品を語る上で避けられないのは主人公のマルチキャスト化であるが、とても面白い試みだと思う
同じアビバであるはずの少女が、キャストが変わるだけで時に繊細に、臆病に、妖艶にキャラクターを変える
現実においても人はペルソナントの切り替えをどんなに軽微ながらも行っているとされているが、極端にこれが起こっている風で、アビバというキャラクターの多様性を感じさせる
難点としてはそのことを理解していないうちは話が頭に入ってきづらくなってしまう…ということだろうか
一色景

一色景