やまだ

ブエノスアイレスのやまだのレビュー・感想・評価

ブエノスアイレス(1997年製作の映画)
4.0
ゲイの話であるけれど普遍的な恋愛のお話。ただ男と男であるがゆえにいつものカーウァイ的恋愛の展開にならないのがこの作品の魅力なのだろうと思う。
恋人同士の立場が同等なぶん、本質的な感情をお互いにぶつけているところが面白い。
レスリー演じるウィンは素直に愛を求め嫉妬をし、トニー演じるファイは素直に苛立ちや独占欲をぶつけている。楽園の瑕や欲望の翼、花様年華での、強いられた香港男の役割から解放されて、そのストレートな感情がとても生々しい。(ウィンとやり直した瞬間からモノクロからカラーの世界に戻るとかそういう所にもファイの精神性が素直に感じられて可愛いww)

それにしてもトニーレオンが本当にすごくいいのです。
テープレコーダーのあのシーン、監督からのメモでは「何か言う」だったけれど「それまでのことを思い出し、ウィンはもう戻って来ないのだと考えると思わず泣いてしまった」だなんて!

ただ、急遽代打で呼ばれたチャンチェンがかわいそうな立場だなあと思う。
完全にレスリーの面影を背負わされている。

まあ撮影時の記事を掘り返していると色々思うところはありますが、この映画でトニーレオンが大好きになりました。レスリーチャンの恋する演技もすごい。   
もしすんなりと撮影が最後まで撮りきられていたらと思うと残念でならないです。