人喰いうなぎ

安藤組外伝 人斬り舎弟の人喰いうなぎのレビュー・感想・評価

安藤組外伝 人斬り舎弟(1974年製作の映画)
3.0
"本人"を企画に入れちゃだめだわ
映画本編もめんどくさい先輩の話だが、多分制作過程がそういう感じだろこれは
本来主人公であるはずの日向謙=花形敬が史実で安藤昇が実際に見ているだろうシーンと見ていないシーンで人格がバラバラ
ラストも誰が観たって取って付けたとしか思えない
明らかに安藤昇に気を使っている

そのままセリフが続きそうなのに無理やりシーン切って短くしているところが頻発するし、どうも演出と構成にキレがない

渡瀬恒彦が片腕を切られる→菅原文太の家にスローモーションで転がり込んでくる→菅原文太がスローモーションで安岡力也の店に殴り込む
の流れは真ん中の転がり込んで来る渡瀬恒彦が余計だと思う
切られた渡瀬は既に十分見せているのでスローにしたところで結局印象がぼやけるし、次の殴り込んでくる菅原文太のスローが効かない
片腕を切られる→スローモーションで殴り込む
に直結のほうが良かったような



ただしファーストカット、クレーン&ズームでカマして、終盤死に際カメラ一回転半に戻ってくるたたみ方は最高
中島貞夫の演出家としての抵抗のようにパッとセンスを出す

仲沢半次郎(狂犬三兄弟)の水平無視カメラも特に前半の乱闘で炸裂しているが、そういうグズグズの乱闘になるとカメラが同じ分深作欣二との資質の差が出ている
中島貞夫は省エネで行けそうならカット割らないので、カメラが水平無視して傾く動きに繰り返し感が出てしまっている
そのへんのアナーキーなカメラと役者の動きとの絡みは流石に深作の方がやり切っている